複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.137 )
- 日時: 2016/01/26 18:31
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
私は……死んだはずだった。目覚めると私は人形になっていた。どうしてなのかも、分からない。でも、私の右目にはガラス細工で造られた義目があった。……頑張れば、私は人間に見える。
突如、声が聞こえる。
「此処だよ。瞳ちゃんの家。……あんな子には勿体ないくらいの家ね」
声の主は、いじめっ子に群がっていた犬を演じていた者達だ。三、四人いる。
もしかして、私の事を心配してくれているのだろうか。
私は彼女等の名前を知らない。ここは、今までの関係をリセットして、改めて自己紹介をしよう。
「私はヒトミ。よろしくね」
皆は私を見て話す。
「うわっ……。やっぱり、右目無くなっている。ねえ、お金持ちなんだからさ、サイボーグ手術とかしないの?」
私は話す。
「私は、別に金持ちじゃないし。それに……」
皆は話す。
「ああ。元だったね。フフッ……」
私は気付く。この人達は単なる冷やかしで此処に現れたのだと。
皆は騒ぐ。
「お前の事を心配している奴なんていないんだよ!馬鹿じゃね?アハハハ!」
皆は突如、私に殴りかかる。
皆は叫ぶ。
「さあ、お前には死んでもらう。勿論、自殺として処理してやるから安心しろ!」
皆は散々私を殴った後、私をさっき飛び降りた二階のベランダへ運んだ。
そして、私を落とす。
……痛い。死ぬほど痛いのに……死ねない。
私は叫ぶ。
「嫌だ!死にたい。死にたい……なんで、私がこんな目に合わないといけないの……?」
皆は逃げ惑いながら叫ぶ。
「……どうして、この高さから生きてんだよ?うわわわわっ気持ち悪っ!!」
私は立ち上がる。
……本当に私は人形になったんだ。
突然、私を呼ぶ声が聞こえる。
「笠原!?大丈夫か?」
……やっと来た。私のヒーローが。
私は彼に抱きしめて、話す。
「……遅すぎるよ」
彼は話す。
「……!……すまない。って右目どうしたんだ?」
私は右目が無い事に気付く。……途端に、私の身体の様子がおかしくなる。
胸が苦しい。……私が私で無くなる。
彼は心配そうに右目を見つめた時だった。
彼は、何かを呟きながら彼の右目に手を触れる。
そして、彼の右目を血まみれになりながら、あっさりと引き抜く。
「私のおかげで、彼女は完成された。あの美しい彼女は私の右目によって、完全な人間になるんだ……」
そして、私の方に右目を差し出し、倒れる。
私は呟く。
「まさか、私の右目のせい?そんな……」
私は無意識で救急車に連絡をした。
私は、呟く。
「ごめんなさい。ごめんなさい……私の目のせいで……ごめんなさい、ごめんなさい」
その後の彼の行方は知らない。噂によれば、病院でずっと、何かを呟いているらしい。その為、他の患者と隔離されている。
そして、私のいる屋敷は、後にこう呼ばれる。
『幽霊屋敷』
私の名前はヒトミ。
私は人間になりたいの。こんな呪い付きの人形、誰もほしがらないけど。
外伝 右目無き少女 完
主人公視点変更。
次へ続く。