複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.152 )
日時: 2016/02/01 20:23
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第十六章 名も無き餡密

五十嵐は呟く。

「なあ、新メニューの名も無き餡密って、名前の無い普通の餡密と言う事なのか?」

陸田は話す。

「急に、起き上がって何を言っているんだ。お前は……」

五十嵐は話す。

「あれ?嘉さんは?」

陸田は呟く。

「……殺してくれる人間を探しているよ」

五十嵐は叫ぶ。

「何で、七里を止めなかったんですか?また、外に出て殺してもらえる人間を探しているのか……。前回、七里が外出た時の事を覚えているでしょうが!」

前回、七里が外に出た時に、七里は自殺スポットで、何十回も自殺を図り、意識がもうろうになった所で、七里を探していた五十嵐に保護されていた。



陸田は話す。

「そう言えば、大神校長が逮捕されたぞ。それに、教育実習生の白咲が土田と言う男と共に、指名手配になっていた」

五十嵐は話す。

「冗談ですよね?」

陸田は呟く。

「いいや。爻と書いて、マジだ」

五十嵐は叫ぶ。

「ふざけているだろ。馬鹿にしてんのか?!」

陸田は話す。

「……お前、倒れる前の事覚えているか?」

五十嵐は話す。

「いや?覚えていないよ……」



五十嵐は陸田に聞こえないように、呟く。





「……母さん」

しばらく、時が過ぎ、七里が居ないと言う事に違和感を覚える頃……。

五十嵐は餡密を食べながら陸田に呟く。

「……嘉さんは何処へ行ったんですか?」

陸田は話す。

「知らん。……でも、俺としては逃げてくれた方が良かったよ。……あの娘は、良い子だからな。俺の出世の為の生贄なんて……」

五十嵐は叫ぶ。

「生贄?何を言っているんだ?」

陸田は話す。

「……でも、もう後戻りできない。俺の人生は、教祖様に捧げると!……決めた」

五十嵐は陸田に話す。

「何を決めたんです?」

陸田は叫ぶ。

「俺は、この喫茶店を移転する!少しでも、あの教団の近くに店を構えて、感じたいんだよ!教祖様を!」

五十嵐は呟く。

「……何を言っているんだ?」

陸田は呟く。

「私の選択に、神の御加護があらんことを……」

五十嵐は叫ぶ。

「いや、嘉さんはどうするんですか!」

陸田は呟く。

「どうせ、七里は新しい宿り木でも見つけたんだろ。七里の事は忘れろ!俺は……教祖様の元へ行かなくてはならないのだ!」

五十嵐は呟く。

「そんな……。嘉さんは、俺達が嫌だったのか?」

陸田は話す。

「その通りだ。さて、生活に必要な物は、箱に入れろ。必要無いのは、此処に置いて行け」

五十嵐は叫ぶ。

「あれ……サイボーグの実験に使う機械とかは?」

陸田は呆れながら呟く。

「教祖様の所は、最新のサイボーグを創る機械が揃っている。しかし、サイボーグ手術が出来る奴が大神以外に違法に創れる奴がいるとはな。本来は、サイボーグ手術出来る人間は、政府の監視対象にされて、合法サイボーグ以外の違法サイボーグは手術出来ないはずなのに……。まあ、ともかく、あんなオンボロな機械はいらないんだよ」





一方、五十嵐や陸田との、生きる喜びを感じたく無く、殺してくれる人間を求めていた七里は……。

「私は何も食わなくとも、生きていける。……私って本当に生きているの?」

七里は、新聞を読む。

記事には、こう書かれていた。

『同盟国で、アンドロイドがテロリスト。死者も発生』