PR
複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.158 )
- 日時: 2016/02/03 17:56
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
五十嵐の世界が突如変わる。
彼は、孤独と言う得体の知れないモノで充満している部屋にいた。
彼は、母と父に怯えていた。しかし、逃げると言う選択肢は無かった。むしろ、母と父を救ってあげたいと言う感情が芽生えていた。
部屋の扉が開かれる。
世界が変わる。
彼は、何も無い平和な世界を見つめる。
空、陸、海は今日も静かに動いている。
皆も、静かに動いている。
動いていないのは彼だけだった。
彼は、あの日から時が止まっていた。
「ねえ、そんな所で何をしているの?」
彼の止まっていた時を動かしたのは、本当に時が止まっている少女であった。
五十嵐は話す。
「家族が、いなくなって、居場所が無いんだ。学校には、何も話していないし……。まあ、いずれバレるだろうけど」
時が止まった少女は話す。
「……それじゃ、私と一生此処にいて。何処にもいかないで。私のいる場所が貴方のいる場所で私達のいる場所でありたいから」
五十嵐は話す。
「嘉さん……」
七里は話す。
「光成さん。……ごめんね。君は私と違って不老不死じゃない。身勝手かもしれないけど、君の過去を知らないけど、今のこの想いは、永遠よ」
五十嵐から見た世界が元に戻る。
五十嵐は立ち上がり、呟く。
「……喫茶店の名前は沈丁花だったっけ。嘉が喫茶店の名前を聞いたら喜ぶだろうな」
第十六章 名も無き餡密 続
第十七章 名も無き沈丁花へ続く。
PR