複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.16 )
日時: 2016/12/05 16:03
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

あれから、数日が経った……。

今日はどうやら、教育実習生がこの学校にいるのが最後の日らしい。思い出と言えば、私が見境さんに暴力を振るおうとした時に、卯敷先生と言う教育実習生が、超能力を発動させて、止めてくれた事かな。実際止めてくれなきゃ、今以上の大問題になっていたから、感謝している。そうだ!お礼を言いに行こう!

その時、見境さんに話しかけられた。

「ねえ……今日の夕方。このビルの屋上に行って。星空さんが見せたい物があるんだって。あたしは、後から行くから問題ないよ」

私はすぐに、行く事を決めて今日の夕方に備えた。そして、私は職員室へ訪ねた…。

「あの!卯敷先生はいますか?」

別の先生が、答える。

「あ〜、卯敷先生は、もう帰られたよ。あれ?白咲先生も帰っちゃったのかな?う〜ん、白咲先生に聞きたい事があったんだけどな……」

私は、質問する。

「白咲先生に聞きたい事って何ですか?」

別の先生が、小さな声で答える。

「ああ……。白咲先生に聞きたい事は、この学校の教育実習生になった理由だよ。彼の履歴を調べてみたけど、先生と言う職業にはとても向いていない。白咲先生は、前科ありの犯罪者だ。よく、こんな奴を大神校長は受け入れて。こ、この話は聞かなかった事にしてね」

今の話は忘れる事にした。折角、気分が良かったのに、最悪。

そして、夕方。

「この世界は、どう有るべきか。誰が、この世界の未来を決めるのか」

星空は、新聞を読む。彼が書いてある記事には、こう書かれていた。

『脅威のアンドロイド。この物達を見つけ次第、処分せよ』

星空は話す。

「脅威か……」

私は話す。

「どうかしました?」

星空さんは、話す。

「いいや……さて……僕は君と仲間になりたい。だから、夜まで、ここでお互いの事を語ろう。大丈夫、後から、見境さんが来るから」

……仲間。今は、その関係が星空さんとのベストな関係なのかもしれない。……多分。

私達は、夜まで語った。辺りが暗くなるまで。

星空は話す。

「……もう、暗くなったのか」

その時、見境がやって来た。

「……相変わらずここの夜空は素敵ね。あたし、ここが一番居心地が良いの。強すぎる光が大嫌いだからね」

夜空……。私は、夜景の方が奇麗だと思うな……。

いきなり、何処からか声が聞こえる。

「見つけたぞ!H−3!人類の敵め!」

……え?

バンッ! 銃の発砲音が鳴り響いた。

「……うわっ!」

私は恐怖でビルの屋上から逃げようとしたけれども途中で、倒れこんでしまった。

星空さんが話す。

「まさか……見つかってしまったのか。銃を撃った奴らが隣のビルに移動しているな……。何を考えている……。とりあえず……見境さん、一之瀬さんをすぐに、病院へ」

見境さんが話す。

「分かったけど……H−3って何?……」

星空は呟く。

「……僕の本名。H−3って言うんだ……今まで、黙ってゴメン。僕はアンドロイドだ。しかも僕は普通のアンドロイドと違って、人間によって造られたアンドロイド。……軽蔑するなら……しても構わない。僕と君は、もう会う事は無いからね。君もアンドロイドなんかに間違われない内に、一之瀬さんを連れて、逃げた方が良い」

見境は呟く。

「……何言っているの。あたしが、あんたの事を好きなのに……軽蔑する理由なんて無いでしょ」

星空は動揺しながら話す。

「え?!い、いきなり何言っているんだ。僕も君の事が好きだけど。駄目だ……。君とはもう会えないんだ。どう足掻いても。そんな事を言われると、僕はあいつ等に処分される事を後悔してしまう。それに、やっぱり僕と君は、アンドロイドと人間だ。好きになる事さえ許されないんだ」

見境は口を開く。

「あたしは、あんたと平和な時を一緒に過ごしたいの。だから、もう会えないなんて言わないで。あんたが、あたしの平和守らないで、誰が守るのよ」

隣のビルの屋上には、大勢の武装した人々がぞろぞろと、入って来ている。

「撃ちますか!?」

「いや人質がいる。……H−3。お前はこの世界に存在してはいけなかったんだ」

星空は話す。

「そうだな……。それじゃ、いずれ戻る。絶対に。君の元へ現れるよ。どんなに、時が経っても」

見境は話す。

「あたし、これからの長い人生、君の事を忘れるかもしれないよ?それでも?」

星空は上を向いて話す。


「夜空を見てご覧。太陽の様な強い光は無いけれど、優しい光に包まれた星が輝いている。月が輝いている。これを道標に僕を思い出して。そして、この夜空を二人でもう一度見よう」

「…分かった。」

私も、こんな事を星空さんに言われたかった。

……言われたかった。

その後、私は見境さんによって、病院へ行った。身体の方は、軽い捻挫だったが、心の方は、ズタボロ。だけど、応援しないと駄目だね。



未だに、星空さんは戻ってきていない。

しかし、あの時行ったビルと、隣のビルは大破したらしい。ニュースでは、原因不明と報道していたが。


……生きて星空さん。見境と待ってるから。


第二章 名も無き夜空 完

次へ続く

主人公、視点変更。