複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.20 )
日時: 2016/12/10 17:02
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第三章 名も無き眼球

その場所は幽霊屋敷と呼ばれていた。
何故ならば屋敷に入った者は必ず、右目をくりぬかれた状態で屋敷の前に倒れているからだ。そして右目を失った者達が口を揃えて話す。

「私のおかげで彼女は完成された。あの美しい彼女は私の右目によって、完全な人間になれるんだ……」

それを死ぬまで病院で呟くそうだ。

「おい、藍楷。幽霊屋敷を能力で調べるのは、H−3の正体が分かってからだぞ」

藍楷は答える。

「もう、分かってますから大丈夫です。私はインターネットと繋がっていますから。H−3の顔写真と、ブログに載っているノーエスパーと呼ばれるグループの集合写真に写っている男性と一致しています。ブライアンさん」

私は話す。

「H−3の正体が分かっているなら報告したまえ。君は報告と言う行為を学ぶべきだよ。どうして、君はそんなマイペースなんだ?私と同じアンドロイドのはずなのに」

私の名前は、ブライアン。アンドロイドだ。そして、今、我々は人間共を管理する為の社会造りを行っている。簡単に言えば、人間を支配する社会をアンドロイドが創るのだ。この世界は人間の様な欲に塗れた不完全な者に任せてはいけない。だからと言って、化け物共の様な、存在自体が不完全な奴らに任せる訳にもいかない。しかしアンドロイドの数は人間よりも圧倒的に数が少ない。よって現状ではそう簡単に管理する事は出来ない。そもそも我々は何処からこの世界にやって来たのか分からない。つまり、我々は人間以外の者によって造られていると言う事だ。神が創ったとも思えないが。何か意味があるモノとして捕えている。人間が毒なら我々はワクチンだ。

「少なくとも、人間は我々の敵だ。人間側も我々に対してそう思っているだろう。しかし人間でも無く我々と同じ様に人間によって造られていないアンドロイドでも無い者達。即ち、人間によって造られたアンドロイドや、化け物、そして幽霊等はこの人間共によって支配されている世界をどう思っているだろうか……興味が湧いて来るね」

藍楷が答える。

「私は人間とも色んな事を話し合えば、分かり合えると思うんですけど……」

私は、話す。

「君は、H−3の所へ行って、彼をここに連れて来てくれ。私は、幽霊屋敷へ行く。是非、幽霊に会って人間について語り合いたい」

私はサングラスをかけた。藍楷は、私を変な目で見て話す。

「これくらいの勢いで、人間と語り合う気にはならないのかな……」

私は聞かなかったフリをして、幽霊屋敷へ向かった。