複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.208 )
日時: 2016/02/27 14:29
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第二十三章 名も無き奴隷




五十嵐 光成は母親が死んだ為、学校には来ていなかった。


七里 嘉、見境 紬、一之瀬 燈は普段通り登校していた。


一之瀬はある人物を見て話しかける。

「あっ!扠武澤!最近、学校に来ているね!」

見境は一之瀬に話す。

「扠武澤……さんって、同級生じゃないの。どう見ても、年上なんだけど」

扠武澤は話す。

「一之瀬。消しゴムを無くした。一つ貸してくれ」

一之瀬は話す。

「え〜。……まあ、いいや」

そう言って、扠武澤に消しゴムを手渡す。



扠武澤は何処かへ行く。

見境は話す。

「ねえ、あの人とどういう関係なの?」

七里も話す。

「あの人が、光成と友達なんだ……」

一之瀬は話す。

「何か近寄るなオーラ、結構出しているけど、話してみると良い人だよ。暴言ばっかだけどね!」



扠武澤は別のクラスを何気なく廊下を歩きながら見ていた。

扠武澤は足を止める。

「なあ、赤目女。俺の心読めよ」

赤目女と呼ばれた赤い瞳のした少女は怯えながら呟く。

「い、嫌です。……やめてください。……お願いします」

男子は叫ぶ。

「ほら、その気持ち悪い目で早く見ろよ!五十嵐!」

男子は五十嵐と呼ばれた少女の襟を掴む。

五十嵐と呼ばれた少女は叫ぶ。

「嫌だ!助けて!」

周りはクスクス笑いながら五十嵐を見つめる。

扠武澤は考える前から行動に出ていた。

「お前ら、何やってんだ?」

男子は呟く。

「……あんたには、関係無いだろ。……チッ。気分が悪くなった」

廊下に出て何処かへ行く。

五十嵐は何も話さない。

其処に一人の少女が現れる。

「……ねえ、貴方のせいで、折角の面白みが無くなったわ」

そう言って、五十嵐のカバンを蹴る。

扠武澤は少女を殴ろうとしたが、少女は殴る前に話す。

「私は、富裕層街にある一流企業の社長の娘。私を殴れば、パパが黙ってないわ!」

扠武澤は話す。

「それがどうした」

扠武澤は少女の顔を殴ろうとするが、少し早いタイミングで少女は自ら倒れる。

少女は動揺しながら騒ぐ。

「こ、こいつ、本気で、本気で殴った。私を、わ、私を……!」

扠武澤は話す。

「……何、言ってんだよ」

その時、先生が現れる。

「おい、お前!何してんだ!」

先生は扠武澤の胸ぐらを掴み、職員室まで持っていった。

少女は先生の姿が見えなくなってから話す。

「パパに言ってもらって、あいつの人生終わらせてやる。この女みたいに、一生、私の奴隷にしてやる!!!!」

少女は五十嵐を殴り飛ばす。


扠武澤はしばらく、説教され、解放された。




昼休み。

見境と一之瀬と七里は扠武澤と一緒にいた。

七里は話す。

「本当に、そんな酷い事があったの?」

扠武澤は話す。

「少しは俺を信用しろ」

五十嵐は早退した為、外に出ていた。

扠武澤達は五十嵐が学校から出る前に話しかける。

五十嵐は怯えていた。

見境は呟く。

「……大丈夫。私達は何もしない」

五十嵐は、見境の目を見て話す。

「……わ、私に嘘はつけないよ?」

七里は見境に隠れながら話す。

「と、とりあえず、どうして苛められたのか話を聞きたいんだけど……。あ、でも言いたくないなら……別に大丈夫」

五十嵐達は場所を変えて話す。

扠武澤は話す。

「とりあえず、全員の自己紹介は済んだな。それじゃ、君の名前を」

五十嵐は話す。

「あ……五十嵐 蒼です……」






五十嵐の話だと、彼女は心を読み取る能力と、幼い頃に親が強制的に学生では危険とされている強化人間にされた事もあり、中学から同じように苛められていたらしい。さらに、高校に入学して、パパとか騒いでいた少女、比嘉 友未(ひが ともみ)に目を付けられ、さらに酷い状況に陥ったという。ちなみに、親は蒸発して、一人暮らし。面倒を見てくれる人はいるらしい。


五十嵐は扠武澤に話す。

「ゴメンなさい、扠武澤さん……。私のせいで、比嘉さんに目を付けられちゃって……」

扠武澤は話す。

「別に問題は無い。でも、しばらく、俺は学校でもプライベートでも五十嵐以外と話さない方が良い。仲間と思われたら、何されるか分からない。今日、俺も早退する」


そして、扠武澤は無断で早退。

一之瀬と見境と七里はいつも通り授業に取り組んだ。



扠武澤は怯えている五十嵐に話す。

「さて、何処に行こうか……。陸田組や姫哭にも迷惑がかからない所。……喫茶店に行くか」

扠武澤と五十嵐は喫茶店に行った。

扠武澤は叫ぶ。

「うわっ、懐かしいな。喫茶店。餓鬼の頃に良く遊んでたな……。今は、確か、七里と光成が住んでいるんだっけ?」

五十嵐は話す。

「わ、私に言われても……」

扠武澤は話す。

「……ゴメン。後、思ったんだがお世話になっている人はイジメについて知っているのか」

五十嵐は話す。

「知らないよ……。だって悲しい気持ちにさせたくないから」

扠武澤は呟く。

「陸田さんはいないのか……?」

喫茶店の扉が開く。

其処にいたのは、大神だった。

「……ん?おお、救世主。久しぶり。隣の君は彼女か?」

扠武澤は話す。

「俺みたいなクズに、彼女なんか出来ませんよ」

大神は、インスタントコーヒーを飲みながら話す。

「陸田は、裏切った。土田もだ。まあ、今に後悔させてやるけどな。他の仲間達は、色んなところにいる。後、陸田組自体は、頭を坂本に変えて頑張ってもらうつもりだ」

五十嵐は驚く。

「扠武澤さんって、暴力団関係者なんですか……?」

扠武澤は話す。

「まあな。だが、虎の威を借りるつもりは無い。俺は俺だ」

大神は話す。

「陸田は、相変わらず、此処にいる。……俺の事より、大切なモンがあるんだろ。きっと……」

大神はそう言って去った。


五十嵐は呟く。

「どうして、彼は此処に来たの……」

扠武澤は話す。

「あの人の考える事は俺には理解出来ない。まあ、とりあえず、光成もいないらしいから飯奪って此処から逃げる」


清掃の時間。

比嘉は校内放送を流した。




「今から、扠武澤 流努って言う馬鹿を私の元に持ってきた奴に、大金を用意する!後、私の元から勝手に消えた五十嵐 蒼も対象に入れる!」

途端に、人々は騒ぐ。生徒は騒ぐ。先生も騒ぐ。

見境は呟く。

「……そんな」

清掃を部活を道徳を放棄して、皆は走る。金の為に走る。



一之瀬は話す。

「扠武澤は、携帯を持っていないから、連絡手段が無いよ。……どうしよう。このままじゃ……」


七里は話す。

「私なら、何度でも守れるけど……」






そして、扠武澤と五十嵐は……。

「み、見つけた!扠武澤!五十嵐もいやがる!」

扠武澤は話す。

「何だお前」

扠武澤と五十嵐の周りを、十数人が取り囲む。

「よし、そいつ等を逃がすな。……悪く思うなよ」

沢山の人が扠武澤と五十嵐を殴る。



扠武澤と五十嵐は倒れる。

「……お前ら……」

一人は話す。

「俺達は超能力を使っていない。……感謝して欲しいくらいだよ。他の奴だったら、腕一本は無くなっていただろうな」


扠武澤は話す。

「……お前らみたいな奴がいるから、五十嵐は笑う事を、楽しむ事を忘れたんだな。……お前らは俺以下だよ、ゴミクズ」