複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.225 )
日時: 2016/03/02 19:30
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

「若木!!お腹減っちゃった!!」

「……お金とか持って来てないのか?」

「……!すっかり忘れていたよ!!」



そう言って、成木は笑顔を見せた。


若城は、ハンバーガー店を訪れ、ドライブスルーでハンバーガーを買い、食べていた。

「何で、店の中に入らなかったの??」

「君が病衣の格好をしているからだよ。病衣の格好のまま、外に出るとバレちゃうからね」

若城は不安だった。

成木が何時、自分の嘘を知ってしまうのでは無いかと。


「ねえ、私さ。自由になったら行きたい所があるんだ!!連れて行って!!」

「ああ、何処に行きたいんだ?」










しばらく、車を走らせ、若城は成木が行きたい場所に連れて行った。

「……着いたぞ……遊園地。だが、その前に買ってきた服を着よう。俺は車の外に出ている。車の窓には、新聞紙で隠してあるから問題ない」

「何で、新聞紙が……!!」

成木は突如、現れた新聞紙にテンションが上がっている。……いや、遊園地を目前だからだろう。


ちなみに、新聞紙はリュックの中を見られてもすぐに金だと分からないように、逃げて来た後、余裕がある時に公園のトイレ等で金を包んでいた。


しばらくして、新聞紙が次々と車の中で成木がビリビリに破く。

成木は車の外に出る。

「こんな事、お母さんの前じゃ出来なかったなー!!ふぅー!スッキリする!!」


成木は遊園地の方向へ若城を引っ張り走る。

「成木!そんなに走ったら、体が……!」

「体がピンピンしているから大丈夫だって!!!それに、互いに残り少しの人生、楽しまないと!!!」



それから、二人は遊園地を思う存分楽しんだ。

何時しか、女は病気を忘れ、男は罪を忘れ、笑っていた。


「ねえ、最期に観覧車に乗ろう!!!」

「ああ、夕日がきっと綺麗だ!!」



観覧車に二人は乗る。




「……私、生きてて良かった!!!……君のおかげだよ!!こんなに幸せな事無かったんだから。君と会えて本当に良かった。私の中でずっと、一生に残る想い出だよ。この景色、この空間、絶対に忘れない。だって後、少しの人生だからね!!……私の夢に付き合ってくれて、ありがとう!!」

成木は笑っていた。

「……こちらこそ、ありがとう。……俺も君と出会えて良かった」

若城も笑っていた。

二人は観覧車を降り、遊園地の外に出た。

「夕飯のアップルパイ美味しかったな〜!!」

夕飯は遊園地内で済ませて来た。



目の前に、一人の女性と男性と医者がいた。

「貴方が、成木 林檎さんですね!」

医者は叫び、成木の母親も叫ぶ。

「林檎!!今、その誘拐犯から助けてあげるからね!!」


成木と若城は動揺する。

何処からか、パトカーのサイレンが鳴り響く。

若城は成木を助手席に乗せた後、運転席に乗り、車を発車させる。






遠くで、詐欺グループのボスが双眼鏡で車を見ている。

「作戦成功だ。後は、取引をして、金を返してもらうだけだ……」






しばらく、車を走らせ、海が見える所へ辿り着く。

「……!お前は!」

詐欺グループのボスと部下たちが、目の前に立っている。

「部下共よ。若城にさっきのお返しをしてやれ」

若城は逃げようとする。

「おい!逃げれば、女も殴るぞ!逃げなきゃ、お前だけを殴る」

「成木……逃げてくれ」

成木は怯え、何も答えない。

「俺は、今、かなり怒っている」