複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.227 )
日時: 2016/03/02 20:28
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

「さあ、金を渡せば、女に危害を加えたりはしない。金を渡せ!」

若城は戸惑う。

「おい、どうせ卑怯者のお前なら……金を選ぶんだろ?女を見捨ててよ!さあ、時間は無いぞ。何故なら、俺達はお前を誘拐犯に仕立て上げ、警察がお前の事を追いかけさせるようにしたからな!お前は結局、逃げるんだよ。なら、女より金の方が良いだろ?」

「……このまま待てば、警察が来て、成木は病院に連れ戻され、俺は誘拐で逮捕。俺が逮捕されたら、お前等の事も話す。そうなると、お前等もタダでは済まされないぞ?」

「お前には言っていなかったが、俺達は警察とも内通している犯罪組織に属しているんだ。まあ、傘下だし、そんなに関わりは無いけどな。だが、警察は俺達を逮捕も何も出来ない。警察と内通する組織の奴を逮捕すれば、それは裏切り行為になるからな!さっきのパトカー達だって俺が呼んだんだ!」

勿論、ボスのハッタリである。現に、御堂と言う若城と同じ組織にいたメンバーが逮捕されているからだ。

しかし、その事実を知る者はボスのみである。ボスの部下はさっきのハッタリを信じている。御堂は裏切り者と言う事で逮捕されたとボスが誤魔化している。

さっきの警察と母親も、偶然である。ボスとは無関係。


若城はボスを見る。

「随分と馬鹿げたハッタリだ。……そんな馬鹿と一緒の組織にいた俺は、もっと馬鹿だった。俺は成木と出会って分かった。……俺達は間違っていた。金なんて有っても、心が裕福じゃないと、幸せにはなれない。逆に、金が無くても、心が裕福なら……幸せなんだよ」

若城はボスを殴り飛ばし、成木を連れて車に乗る。


部下達は動かずボスを見つめる。

「おい!何してんだよ、お前等!追え!あの金は俺のだ!……ククッ!若城!お前は結局、金が一番なんだろ!俺は追うぞ!お前がその金を返すまで!まず、言ってる事とやってる事が違うんだよ!お前は!お前が本当に、あの女を愛しているなら、金は置いていくはずだからな!……おい、部下共!何で、奴を追わないんだよ!」

部下の一人が呟く。

「……あの、嘘だったんですか?警察と内通している犯罪組織の傘下と言う事は……?」







車の中は恐ろしく、静かだった。