複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.277 )
日時: 2016/03/12 16:24
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

「……武藤と言う者は知らないな」

「隠すなよ……。俺の能力は真実を見る事。お前の正体なんて分かっていたんだよ」

「……そうか」

「相変わらず……反応薄いな……お前は」

NOVAは掌から反物質で形成した球体状のエネルギー弾を放つ。

武藤は川宮を連れて逃げる。



「とりあえず、お前を安全な場所へ移動する」

「おいおい、研究所があるんだから、俺が死んだって……」

「研究所は既に機能していない」

「はあ?何言ってんだよ?」

NOVAはエネルギー弾で破壊した研究所跡を見回す。

「....どうやら、コンピュータと残りのクローンは消せたようね。任務は達成したけど....今、とても気分が良いわ。今さら逃げても無駄よ。私をこんな気持ちにさせたんだから」





武藤は最後の川宮を連れていく。


「お前は逃げろ。そして、もう暗殺部隊とは関わるな」

「おいおい、何だよ、俺をクビにするつもりか?俺の存在意義であった、クローンじゃ無くなったからか!」

NOVAが武藤達の方へ近づく。

「時間が無い。逃げろ」

「俺達は仲間だろぉ!お前置いて逃げられるかよ!」

「……」

「おい、お前は俺の事を仲間だと思っていなかったのかよ……。そうだよな……今の俺は、生きている価値の無い腹も心も黒いクズだからな」

「……記憶操作開始」

「……定信!……俺は……お前の事を信頼……してたのにな……」





「…………記憶操作完了」

川宮はその場で倒れる。


武藤は川宮のポケットに、大量の解毒剤を入れる。




「何のつもり....?」

「お前がそれを知る義務は無い。……それにしても、川宮をハニートラップで精神を崩壊させるとは。さすが、悪魔の成せる技と言うべきか」

「.....褒めているのかしら」

怪物は衝撃波を放ち、NOVAを吹き飛ばす。






怪物はNOVAに向かって飛ぶ。

NOVAは素粒子で出来た槍を所持して、突きだす。

怪物は避ける。

NOVAは両腕に装備しており普段は袖の中に隠している隠し武器のアラクネーを怪物に向ける。

数十本のワイヤーを広範囲に発射し、右手は捕獲用と左手はダイヤモンドコーティングで相手を切り刻む攻撃用の二種類ある内の、右手の方のアラクネーを出して捕獲する。

NOVAは怪物を地面に叩き落とし、荷電粒子砲を怪物に向ける。




怪物は拘束されたままで、動けない。





「……」




「.....私に殺されるなんて貴女は幸運よ」






「……俺は、あいつ等に出会えて幸せだったよ。君もそうだろう」

「.....! .....そうね」

「私は少し疲れた。そろそろ潮時だ……まあ、最後に真剣勝負と言うモノの楽しさを味わって死ねるのなら本望だ」

荷電粒子砲が放たれ、怪物の身体を溶かす。

再生能力が間に合わず、怪物の身体は無くなっていく。


「……俺は、良き友に恵まれた。もう、死ぬなよ……川宮」



武藤は目を閉じる。









「おい、川宮。……俺はこの世界に来れて良かった」

「                      」

「俺がこの世界に来た理由か。俺は戦いに飢えていたんだ。だけど、俺の居る世界は戦う事を許されていなかったんだ。……退屈だろ?だから、命懸けで逃げて来た。

一度で良いから、戦って腹の底から笑ってみたかったんだよ。体の血が熱くなるような真剣勝負をしたかったんだよ。もっと、死ぬと言う事を知りたかったんだよ」

「                      」


「……川宮。聞こえないよ。……何も、聞こえないよ」

「                      」


「……真人の居る世界で死ねて良かったよ」








武藤は消えて無くなった。










第三十章 名も無き怪物 完

視点変更

次へ続く