複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.318 )
- 日時: 2016/03/21 12:41
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
ルメールは浮檸の目の前にいた。
「貴方の過去は分かったわよ」
「……そうか。母親は元気か?」
「ええ、幸せそうだったわよ」
「偽りでも、幸せなら良いんだよ。そんな事より、僕はこれからどうなるんだ?警察に行くのか?」
「とりあえず、わたくしのお話をお聴きになって?」
「……はい?」
「わたくしは、全ての生命体から愛されていたのですわ。洗脳と言う能力を持って生まれた日から。わたくしを争い、戦争まで起こされた事もありますわ。……わたくしの意見も聞かず。
わたくしは、能力のせいで、恋愛ごとなど人間関係が築けないということに気付きましたわ。
わたくしは、孤独でしたの」
「不幸自慢はそれまでかい?僕の話を聞いて、わたくしの過去の方が不幸ですわよ!って思われたかったのかい?」
「……!違います!……違うんですよ」
「……なら、同情か?わたくしは、貴方に同情出来ると言う訳の分からないプレミアム感か?」
「わたくしは……私はただ、貴方と、ともだちになりたかっただけで」
「……」
「貴方以外いないんですよ。私と……ともだちになれる人が。だから」
「対等に人と話すのは、僕が初めてだったのか?」
ルメールは頷く。
「私は、常に孤独でした。私の事を洗脳と言う能力のフィルターを通してしか、見てもらえませんでした。全て、能力が創りだした偽りの関係だとと言う事も知っていました。だけど、何も壊したく無かったのです。……いや、例え、壊そうとしても、壊れなかったのです」
「……そうか。……」
「本当の自分を見てもらえず、私は苦しみました。偽りでも、幸せかもしれませんが、所詮、似非なんですよ」
ルメールは男の腕を掴む。
「おい……」
「お母様の所に行くのです。本当の自分を見てもらうんです」
「こんな自分の姿を見たって……」
「生きているだけで、良いんです。目の前で笑ってくれればいいんです。……浮檸。私は偽りの中で生きてきました。でも、本来は違うはずです。本来ならば、真実の中で生きるべきなんです」