複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.319 )
- 日時: 2016/03/21 14:08
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
「貧民層街は、危険だよ。と言うか僕は、アルバイトがあるんだ」
「サボっても洗脳でどうにかなりますわ」
「……親にアルバイトサボった姿を見せるのか?!」
「お黙りなさい。下僕」
「……ともだちになりたいって言っていたはずじゃ……」
「……細かい事は気にしない事よ?」
二人は貧民層街に辿り着く。
「此処の治安は最悪で、人殺しさえも、許される街なんだよ。僕には無理だ」
「そんな所で、現実逃避しているお母様はどうなのですか?」
「……」
二人は家の前に来る。
「……無理だ。と言うか、何で扉が破壊されてんだよ……」
「さあ、行くのですわ!」
「……友達と言う言葉が心地良かったよ」
浮檸はルメールを殴ろうとする。
しかし、ルメールに返り打ちにされてしまう。
「……痛い!」
「スッキリしましたわ。下僕のくせに『お前』と呼ばれてイライラしていたんですもの」
「……じゃあ、なんて呼べばいいんだよ。と言うか、お前の名前を知らないよ」
「ハヴィリアとお呼びください」
「……そうか」
二人は家の中に入る。
部屋の時は止まっていて、時計の針が動いていなかった。
「……母さん?」
「浮檸……?」
「母さん!」
浮檸は母親の肩に触る。
「浮檸?今日もこんなに夕食を残して……駄目じゃない」
母親は息子を無視して、マネキンの前に用意された夕飯をゴミ箱に捨てる。
「母さん……?」
「浮檸!今日も貴方のおかげで、幸せな毎日を過ごせたわよ!ありがとう」
「母さん。僕は此処にいるよ」
「今日も一緒に寝るの?甘えん坊さんね」
「母さん!?母さん!僕は……目の前にいるよ!」
母親はマネキンを連れてベットの方へ行く。
「明日は算数のテストだね。頑張って100点取って来るのよ!……良い子だね。…………浮檸は」
「……母さん」
家の中は懐かしい匂いで充満していた。
絵本が、玩具が、全てが、子供の頃の部屋のままだった。
そして、彼は過去に捕らわれた母親を解放し、未来への道を開かせた。
これは自分にとって良い事なのかどうかも分からなかった。
ただ、分かるのは……。
「浮檸。今日から、私の友……では無くて下僕ですわ!」
「……ハハ」
僕は未来へと向かった。彼女と共に。
この事は、絶対に良い事だ。