複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.357 )
日時: 2016/03/29 11:07
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

時雨は涙を流す。

「時雨が知ってる.....有理に戻ってよ.....」

「……何だ……この記憶は」








二人の世界が変わり、祭囃子が聞こえてくる。







辺りには、狐のお面を被っている人々がお祭りを楽しんでいる。



「しゃてき。しゃてきだよ」

「りんごあめも、うってるよ」





時雨は戸惑う。

「どうなってんの......?」






「きつねと呼ばれたお二人さん。いなりが好きなお二人さん」


時雨の真後ろには狐のお面を被った者がいた。

時雨がそのモノを見た時だった。






めまぐるしく変わる背景が二人を襲う。





気付けば、二人は時雨が降っている森にいた。

「.....此処って!」

火野は頭を抱え込む。

「私は……」






狐のお面を被った者が時雨の目の前に現れる。

「彼は人間か化物か。そして、君も人間か化物か」

「時雨は……化物じゃない……!」

「自分の尻尾、耳を見たまえ。君には人間の耳が無い」

時雨は髪の毛で隠れている人間の耳の部分を触る。


狐のお面を被った者は狐のお面を時雨に渡す。

「これを付ければ、君達は人間になれるよ。だけど、この世界じゃない、別の世界。王も神もカタストロフも知らない世界。これは、狐と呼ばれた者しか来れない世界」


「さっきの世界の事.....?」


「ずっと一緒にいたいのならば、これが得策だ」

火野は苦しんでいる。

「彼は、もうすぐ、狐になる。二重人格は終わり。終わり」


「もうすぐに、祭囃子が聞こえてくるよ。夏の匂いがやってくるよ」






「時雨は......」