複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.36 )
- 日時: 2016/12/19 15:11
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
third chapter 第参章 nameless eye 名も無き愛
「君は、運命を変えられると思うかい?」
「いいや、運命は変えられない。変えられるなら、それは時を越えなければならないからだ」
「それでは、別の質問をしよう。運命を変えてみたいか?」
「ああ……。変えてみたいよ。俺はたった一度だけ悲しい気持ちになった事がある。ある人形を失ったせいで……」
「そうか、それでは、その願いを叶えてさせてやるよ。ブライアン」
「え?」
「……あの時をやり直せ」
これは、1つのアンドロイドと1つの人形が、変わる事の無い運命を変えた、もしもの物語。
(第三章 名も無き眼球 ifエンド)
目の前には、燃えているヒトミの家があった。
私はこの時、必死に涙を流そうとしていた。しかし、アンドロイドに感情で涙を流す機能は付いていない。所詮、私はアンドロイドと言う事だ。
だが、アンドロイドにしか出来ない事もある。この事に気づいていれば彼女を救う事が出来たかもしれない。目の前の事を悔やむよりも、助ける為に命を削るべきだった。
私は、一目を憚らず、燃えている家の中へ入った。
全範囲映像分析システム起動。
ヒトミを発見した。私はヒトミが居る部屋へ向かった。
私は、ヒトミが居る部屋に着いた。
ヒトミが話す。
「ブライアン!どうして来たの?!」
ヒトミは私の右目を持って火から逃げていた。
私は叫ぶ。
「待ってろ……!今、君の所へ向かう!」
私は熱によって、いくつかのシステムが壊れていた。しかし、ヒトミを救う一心でヒトミの所へ向かった。
私は、ヒトミを抱きかかえ、外に飛び出した。
私の身体は、壁を突き抜けた。無事に地上へ着地する。
ヒトミは、私の身体から離れて話す。
「どうして、私なんか助けたの?私、他人に迷惑しかしない呪いの人形だよ?私は死んだ方が皆の為になるのよ。あなたもそう思っているんでしょ?そう思ったから……あの時、止めてくれなかったでしょ?『貴方と最後に話せて良かった』って最後のお別れを言っても、ブライアンは無表情で私を異物の様な目で見て来て……。そして、貴方は、消える様に私からいなくなった!」
私は話す。
「いや、あの時、私は君に話しかける言葉が無かったんだ。私はこんなにも辛い思いをしてきた君と無機物の私と話す資格なんて無いと思ってしまったんだ。それに、まさか自殺するとは思わなかったんだ……」
ヒトミは叫ぶ。
「資格なんて必要ないよ!私は貴方に……ブライアンに、生きて欲しいって言って貰いたかった!だけど、貴方は何も言わなかった。私はもう、貴方に生きて欲しいって思われていないなら、死んだ方がマシだって思って火を付けたんだ。私も身勝手だね。人形のくせに……。これまで、沢山の右目を、幸せを奪った私が、貴方と幸せになりたいって……こんな私を貰ってくれるんじゃないかって……。でも、やっぱり私は死んだ方が良いんだよね?これ以上、貴方や沢山の人が迷惑にならないように」
私は話す。
「ああ、ヒトミは悪くないが、右目の呪いは迷惑だ。人間では到底抱えきれない迷惑だ」
ヒトミは呟く。
「そうだよね……。それじゃ、やっぱり私は死んだ方が」
私はヒトミの言葉を遮る。
「だが、その呪いを俺は抱えきれる。その迷惑を俺が全部抱えてやる。そして、呪い以外にもいっぱい迷惑を私にかけろよ。全部、受け止めてやるから。私から見ればヒトミは呪いの人形では無く、普通の人間だ。私は人間が嫌いだが、瞳。君は例外だ。私は君が好きだ」
自分でも、驚いた。そうか。私はヒトミを好きだったのか……。私は彼女を守りたいと思っていたのか。