複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.37 )
日時: 2016/12/19 15:11
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

「……他の奴らが、幽霊だの、呪いの人形と騒ぐかもしれない。実際、ヒトミは人形だ。だが、君の心はちゃんと此処に居る。存在している。生きている。此処に居て良いんだよ。生きている事は罪じゃない。だから、瞳は、生きていいんだ。私と共に生きよう!私と共に幸せになろう!」

自分でも驚くほど、思いが溢れている。

瞳は話す。

「嬉しいけど……でも、私の為に右目を失った人たちは?幸せを失った人たちは?」

私は話す。

「これからの人生で、私と一緒に償おう。瞳」

瞳の目から涙が零れている。

「私、生きても良いんだね?幸せになって良いんだね?私、怖かった。ずっと、ずっと、一人で……孤独で。何回もまた死のうって思った。でも、私、今まで生きてきて良かった!」

瞳は、私に近づいて話す。

「これから、ずっとブライアンに迷惑かけるね?急に抱きついたり、膝枕したり、色んな事をブライアンにさせるね?普通の人間の様に過ごしても良いんだね?」

私は話す。

「これまでも、今も、これからも、瞳はずっと、普通の人間だよ。これから二人で支え合って生きていこう」

彼女は、右目を再び取り戻す事も無く、人間になれる事も無く、未完成な人形のままだった。しかし、我々も含め、未完成だからこそ、生き物は支え合える事が出来て、助け合う事が出来るのだろう。
未完成でも、幸せな未来はやってくる。



「なあ、瞳。いつか聞いた質問だけど、この世界は君にとってどの様に、映っているんだ?」

「ブライアンと一緒に居れば、全部輝いて見えるよ」

「そうか……。それなら良いんだ」

「ねえ、ブライアン!私達ってさ〜、普通の人間として出会っていたらどうなっていたんだろうね」

「さあな……。そんな事を考えるより、今を生きよう!この素晴らしい世界を!」


第三章 名も無き眼球 完

次へ続く。

主人公、視点変更