複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.425 )
- 日時: 2016/04/12 18:15
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
時は少し過ぎ、目羅もこの生活に慣れ、坊主になった頃。
目羅達は牢屋を掃除していた。
「……明日は、風呂ですよ、若城さん」
「そうか……。俺、風呂入るの初めてだな」
「そう言えばそうですね」
風呂は一週間に一回。受刑者全員で入る。さらに、制限時間も設けられており、十五分で体等を洗わなくてはいけない。
院道は、相変わらず、呟いている。
「我々は、悪魔。善を嫌い、悪を好む。そして、我々の心に打ち立ててある正義をこの国に掲げよう……」
看守が、目羅達の所に行く。
「13番。手紙だ」
「手紙……?」
目羅は封筒を受け取る。
「……どうしました?若城さん……」
「おい、私語厳禁だ。……気をつけろ」
看守は、何処かに行く。
「……!」
封筒には、切手と必死に書かれた成木 林檎と言う文字と目羅 樹と言う文字が書かれていた。
「目羅?違う人じゃないんですか?」
「……俺、便所の方に行っていいか?」
「あ、はい。でも、便掃(便所掃除の訳)しましたけど、一生懸命」
「この手紙を読むだけだ……」
目羅は心の中で嫌な予感を感じていた。しかし、嫌な予感が外れて欲しいという希望も感じていた。
目羅は仕切りがある便所に行く。透明なガラスだが。
いつきへ
わたしは、いつきの為に生きたい
だけど、病気は進行してもう駄目みたい
いつもなら、明るく、元気で、過ごせるのに
死を受け入れていたはずなのに
怖いよ
私は、いつきを探して、何度も家出をしてしまいます
いつきとの約束を守れなかった
いつきはわたしの為に、罪を償っているのに
私は、最後にいつきに会いたかった
また、遊園地にいきたかった
死にたくない
まだ、いつきといたいのに
目羅は、号泣する。
「林檎……」
「若城さん……?」
「……畜生」
院道は呟く。
「人生は続く。例え、キスをしてハッピーエンドで終わっても、君の人生は終わっていないんだよ」
「黙れよ!人の人生をゲームに例えるな!犯罪者!」
「そんな君も犯罪者。真っ黒く汚れた黒歴史は、どう足掻いても、落ちないんだ。犯罪者は一生、犯罪者なんだ!可哀想にな、林檎ちゃんも、犯罪者に恋するなんてな」
「お前!」
目羅は崩れ落ち、泣く。
御堂達は、戸惑いとりあえず掃除をして、見て見ぬふりをする。
「……13番。犯罪者は犯罪者らしく、生きようではないか。闇の中に生き、闇の中で死ぬ。光を浴びれば、即、刑務所。君に、善良な一般市民なんて言葉が……相応しいとは思っていないよ。さあ、此処から脱獄しようじゃないか。
君の正体は、知っている……同志よ」
「……!まだ、活動を行っていたのか?」
「ああ。君もな。阿修羅や九十峰は気付いていないが……」
「そうか……俺もか」
看守が目羅の泣き声に反応し、やってくる。
目羅は看守を説得する。
「すみません。あの人が、急に泣き叫んだんです」
「……柴田と同じ所に行かせるか?」
「いや、さすがにこれ以上西村さんに囚人を殺されちゃ、他の組織にバレますよ……」