複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.480 )
- 日時: 2016/04/25 16:19
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
「あの馬鹿共は、命を何だと思っているんだ。俺達を……何だと思っているんだ」
千石は静かな喫茶店の中、呟く。
メリクルベルは、紅茶を、一口飲む。
「りんごとはちみつはありませんの?別に、紅茶は苦くは無いけれど、りんごとはちみつは好物ですの」
「りんごは用意できますが、はちみつはありません....」
「まあ、別に良いのよ!」
メリクルベルは、千石に話しかける。
「別に国に逆らったって良いじゃない?」
「……無理だ」
「どうして……?」
「俺は、元奴隷。奴隷からの解放条件が、兵士になる事だからだ。俺は、奴隷以下の国の所有物なんだよ」
国は、大半は奴隷から兵士に引き抜く。実際、奴隷と兵士では身分は違うが、やっている事は奴隷よりも酷く、国の為に命を削らないといけない。
志望者が多い理由は、奴隷上がりが多いから。一応、違法だが黙認される。
奴隷と違って、兵士は自由時間がある。それ以外は、ひたすら訓練と同盟国と共に戦争に参加。命を落とす者が多く居るが、奴隷から引き抜けばどんどん、人手が足りるので、国や政府は何ともこの現状に何とも思っていない。
「きっと、大丈夫ですの!」
「未確認生命体は、我々の能力を遥かに超える。我々は超能力を持っているが、明らかに人間の知能についていっていない。こんな物は進化とは言えないはずだ」
「……?」
「まあこんな事はどうでも良い……。とにかく、私は数日後、戦争で殺される。……何度も目の前で同志が死ぬ所を見たが、いざ自分が死ぬとなると……体が震えるよ」
「だからっ!だいじゅ……大丈夫ですの!わたくしと出会ったのなら、絶対大丈夫!」
「……君には、分からないよね。死の恐怖が」
メリクルベルは千石を見る。
「なら、もっと今を生きたら良いと思いますの!人生の最後に何かしたい事とかないのかしら?」
「……普通の人間みたいに、明日を気にせずに生きて見たい。人以下の扱いされ、毎日が、上司からの傷害並の虐待。奴隷時代は自由さえ無かった。俺は明日に怯えずに、生きて見たい。明後日から、戦争の準備期間だ。数日後の夜明けと同時に、結界を戦車、戦闘機等で破壊して侵入する。目標は未確認生命体の王。……俺達には帰りを待ってくれる人なんかいない。だから、簡単に死ねる。
死んで初めて、俺達、兵士は価値が出るんだ。奴隷と違ってな……」
千石は涙を流す。
「だが……。生きる価値が無い俺でも、命が惜しい……!」
「……なら、逃げれば良いのです!わたくしが、手を貸してあげましょう!そして、奇跡が有る事を教えてあげますの!」
メリクルベルは千石を連れ、何処かに行く。