複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.484 )
- 日時: 2016/04/26 17:29
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
「国の為に命を捨てろ!生き残りは恥だ!」
そう言って、人々は王に立ち向かう。
一部の人間は、結界の中に入り込み、捕まっていた、ヒトミとルメール達を解放する。
ヒトミは、眠っていた。ルメールはヒトミを運ぶ。
そして、ルメールは洗脳をしてしまい、兵士たちはルメールの虜になる。
「死んでも、ルメール様をお守りしろ!」
「わたくしの能力が発動してしまいましたわ……!」
数え切れないほどの人間が死んだ。
だが、それを悲しむ者はいない。
存在を消されようが。
宇宙空間に飛ばされようが。
死ぬために生まれて来た彼らは、生きる事を忘れ、奇跡、希望を忘れ、必死に殺されに、走る。
しかし、たった数日前に少女に出会った男だけは、生きる事を思い出し、奇跡を信じ、必死に殺されないように、走る。
例え、それが恥だと言われても。
ゆく末は屍でも、足掻き足掻いて今を生きる。
兵士たちの断末魔が鳴り響く。
少女との約束を叶える為に、男は走り、断末魔を乗り越える。
少女は、願い祈る。
「生きていてください。希望を持って下さい。奇跡を……」
貴方は奇跡を信じますか?
「俺は……」
千石は必死に死から逃げる。
わたくしは奇跡を信じていますわ。
貴方と出会ったのも奇跡。貴方と笑ったのも奇跡。
わたくしにとって、今を生きていられるのも奇跡なんですわ。
奇跡という言葉が軽くなってしまいますが、わたくしにとっては、十分な重さです。
「……俺は、また彼女と逢って……。何気ない会話を普通の人間の様に、過ごして……彼女とくだらない議論を交わして……。俺は奇跡が如何に大事かが分かった。……俺は、生きてやる!奇跡を自分で実行してやる!」
だから、あなたにもう一度だけ、尋ねさせてくださいね。
「俺は奇跡を起こしてやる……!」
あなたは奇跡を信じますか?
第四十五章 名も無き屍 完
場面変更
次へ続く