複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.487 )
- 日時: 2016/04/26 19:29
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第四十六章 名も無き血統
此処は、名も無き中学校。
中学校では、何気ない日常が流れていた。
「ハズミー!ねえ、陸上部入ろうよー!」
「え……いや、でもっ」
「私、凄い困ってるの。ね!お願いだから!」
「いや、もうソフトボール同好会に入部する予定だから……」
「同好会って……!こんなに運動神経が良いハズミには勿体ないよ!」
「でも、私が入部しないと部として認められないのよ……」
「陸上部も困っているの、陸上部に入ろうよー!」
「考えとくね?」
「うん、返事待ってるからー!」
ハズミと呼ばれる女子は、数日前、この学校に転校してきた。
理由は不明。
「あ……宇寺田羽澄です。ハズミって呼んで?」
転校初日から宇寺田は、その優しい性格とおせっかいで、生徒への印象は良かった。
宇寺田は、いつも何かの感情を押し殺しているように、日常に溶け込んでいた。
そして、何かの感情を非日常に持って行っていた。
「……お母さん」
宇寺田は、数日後に行われる葬式の準備をしていた。
宇寺田の父が、葬式会場の中に入る。
「……ハズミ」
宇寺田の母は、何者かに殺されて死んでしまった。犯人は見つけたらしいが、その犯人も殺されていた。
「どうして、お母さんが死ななければならなかったのかしら……」
「……」
宇寺田の父は何かを宇寺田に伝えたかったが、伝えられずにいた。
警察の中では、こんな話があった。
「神楽月を壊滅させた霜月一族の奴を、暗殺部隊にスカウトしたらしいぜ」
「暗殺部隊って本当にあるのか?最近、あそこの部屋に誰も来ないぞ。前まで、黒獅子と卯敷が出入りしていたのに。もう無くなったんじゃね?まあ、良かったよ。警察の試験も受けてない奴が、警察を名乗るのは気分が悪かったからね」
「しかし、神楽月を一晩で壊滅状態とは。神楽月は忍者の集団だろ?忍者は、常人の範囲外の能力を持つ為に幼い頃からの訓練をしているそうだ。だから、そう簡単に殺されるかね」
「殺したのは霜月一族だろ?殺したのも、殺されたのも忍者って事さ」
宇寺田は、父親と家に帰っていた。
家も引っ越しをした為、学校も転校していた。
母親は奮発して、富裕層街付近の所へ住む事に決めていた。
その為、結構別の地域に住む事になったので、環境が、がらりと変わっていた。
「……まだ、段ボールだらけだな。箱を開けないと……」
父親が何かを隠していた事は宇寺田は知っていたが、聞く事が出来なかった。
この日常に途轍もなく影響が出る可能性があったからだ。