複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.500 )
- 日時: 2016/04/29 18:31
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
「君は、これから政府関係者としての自覚を持ち、不祥事といった不審な行動は慎むように。グレイ君」
「はい、分かりました!」
「グレイ。能力は、嗅覚が犬以上になると言う強化人間。大丈夫かね」
「彼は、火薬の匂い。鉄の匂い、銅の匂い等、テロに使われる恐れのある全ての匂いを記録しています。役には立つはずです」
「戦う政府関係者か……。時代も変わったモノだ。偉くなっても、暗殺から身を守る為に自分で対策を取らないといけないんだから。それじゃ、次の者を呼ぼう」
グレイは気合いを入れていた。
「全ては、神の為に。……神が与えた祝福は素晴らしいのだ」
グレイは呟く。
富裕層街の者も、また政府に洗脳されていた。
神が、上下関係を創りだしたと勘違いをしていた。
「……何か匂うな。……気色悪い悪魔のような匂いが」
富裕層街では、貧民層街は悪魔と呼ばれていた。
神に見放されていたからだ。
「悪魔は、前世に悪い行いをした者が転生した物。生きる価値すら値しない、クズだ。どうして、この場所から匂うんだ?」
グレイが見たのは、イズが窃盗をする所だった。
「悪魔……!何故、此処に!」
グレイは我を忘れ、銃をイズに向ける。
「……政府関係者!?何で、こんな所に!」
政府関係者にはバッジが配られ、そのバッジをグレイは服に付けていた。
「皆さん、こいつは人間じゃ考えられない窃盗を犯した悪魔だ!殺せ!」
「何? 窃盗して何が悪いの? あたしたちにそうさせたのはお前ら政府でしょ?」
「……悪魔が何を言っている。我々は神の声を聞き、それを実行する者!
皆さん、悪魔の言葉に惑わされないで!これは大事件だぞ……!」
「……タイムストップ」
時は止まる。
イズだけが、不変し、止まった時の中で生きる。
イズは、グレイが所持していた銃を取り、グレイに向ける。
「時を止めるなんて、許されちゃいけない。殺人も、差別も、窃盗も。でも、あたしは……神に頼らず、選択する……」
時は進む。
人々は何時の間にか倒れていたグレイに駆け寄り、助けを神に求める。
イズは銃を持ち、貧民層街に出る。
「……」
イズは煙草を吸う。
ジルダはイズが吸っていた煙草を取り上げる。
「煙草は体に毒だ」
「悪魔が健康に気を使ったって……」
「悪魔?」
「……何でも無い」
「後少しで……私の能力が人の役に立つ時が来るんだな……。そして、この世界の価値観を壊す」
富裕層街では、大騒ぎにはなっていなかった。
政府が隠蔽したのだ。
絶対安全とした壁から悪魔が現れる事は、あってはいけないからだ。
グレイは目覚める。
「……悪魔です。悪魔の仕業です!」
上司は語る。
「悪魔が、壁をよじ登ったのかい?」
「きっと、超能力で……」
「……悪い夢でも見ていたんだよ」
「違います!あれは確かに悪魔!このままだと、危険です!人々の命が……」
上司は叫ぶ。
「悪い夢だ!騒ぐな!喚くな!動じるな!」
「……!?」
「ある訳が無いのだ。あの馬鹿共は、この状況に疑問すら持てない奴隷以下の家畜共だぞ?」
「……は?」
「うるさいな。貴様。お前も家畜になるか?」
「……いえ」
「我々は、神に言われた事を実行すれば良いんだ。余計な事は考えるな。グレイ君」
上司はその場を立ち去る。
「……貧民層街の奴が反逆を?有り得ない。あのお方の能力があれば……。それにしても、グレイには、内密にしないとな。神等いないのだから」