複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.506 )
- 日時: 2016/04/30 17:50
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
イズは、時間を止める。
「……ジルダ……」
ジルダの顔は狂気に満ちていた。
富裕層街では、沢山の死体が転がっていた。
動かぬ兵器は、何事にも動じず、神に従い、反乱軍を富裕層街の人々ごと皆殺し。
イズは、大統領を殺す。
「時を止めるなんて、許されちゃいけない。だから、あたしがこの能力を使うのは今回でこれっきり……。大統領の能力は消えた。これで……」
時は進む。
「神よ!我を救いたまえ!」
「何故、神は我々を殺す!」
「俺は……この世界を、変えて……!」
「このクソ共が!神の名前を語って、好き放題してんじゃねーよ!」
軍隊は、銃を天使と悪魔に向けて発射。
「……大統領は死にました」
「なら、同じ超能力を持つ息子を利用する。やっと、我々の時代がやってきたのだ。この……悪魔共に感謝しないとな……ハハっ!」
一方、イズは。
「終わったんじゃ……?」
「イズ……。俺は英雄になる。神でも悪魔でも天使でも無い。人間として、この国に誰からも愛される英雄になる」
「ジルダ……」
「お前は此処で腐ってろ」
銃声が鳴り響く。
ジルダの真後ろには、傷だらけのグレイが銃を持って立っていた。
「……能力の暴走だ」
「暴走?」
「人間には、超能力は手懐けないのさ。君も……彼も……大統領も」
グレイは銃をイズに向ける。
「無駄よ……あたしは……」
「一度見たから知っている……。
君に一つ質問がある」
「何?」
「人間は、悪魔か天使か?……それとも、神なのか?」
「……人間は、人間」
「なら、何故、お前は時を止められる!何故、神に等しい力を手に入れられる!」
「……神に等しい力……」
「能力に差がある分、平等なんて求める意味等無い。……お前は、反乱するべきでは無かった。
お前のせいで、此処に住む、善良な国民が死んだ。そして、これも隠蔽される。全て、反乱軍のせいにされるだろうな」
「国民は差別をしていた」
「無知だからだよ。私も無知だった。神が、望んでこの行為を行っていると思っていた」
「そんな訳無い……!」
「……ならば聞こう。神もどきを殺したお前は、誰だ。ヒロインか。神殺しか。それとも、ただの化け物か」
「……あたしは……」
時は止まる。
「あたしは……逞しい犠牲の上に生きる名も無き反乱軍のリーダー。それ以外に何者でもない」
グレイは倒れる。
「飽く迄も、混沌を進むか。神に見放された者よ。お前の行く末は、世にも恐ろしい世界だぞ」
「それでも、あたしは進む。この世界に慈悲はいらない」
イズは進む。
その時、ジルダの声が聞こえる。
「俺を置いていくな……イズ。お前はどうして、そんなに悪ぶるんだ……。もっと、優しくなれよ。お前は、優しいんだから」
「……」
イズは、ジルダを見るが、それはもう動かない。
「人を殺した人間に、優しいも何も無いわ」
「イズ。お前が遠くに行ってしまうように感じるよ。駄目だ……俺の傍で……!」
「貴方は、この世界を変えたいんじゃなくて、自分が英雄に変わりたいだけだったんだ」
「……」
「あたしは、ヒロインなんかどうでも良い。一人でも闘い、身分を消して、強さだけで伸し上がれる世界を創る。この能力で」
イズは消える。
「……」
ジルダは動かない。
このクーデターをきっかけに、各国で反乱が起こる。
そして、その反乱にはある一人の女性がいた。
名前はイズ。
彼女は、名も無き反乱軍のリーダーとして、強い者がこの世界の征服する事を決める。強き奴隷は、弱き国王を滅ぼした。
何も変わらぬ運命を、彼女は変え続ける。
ジルダは、起き上がり、姿を変える。
「イズ……。私は君の為に人間を演じて来たと言うのに」
ジルダは未確認生命体であり、神の存在に近い者であった。
「国も世界も変わらない。また、同じ事を繰り返すだけ。……私は神であるが、英雄では無い。君と居れば、英雄になれたと言うのに。殺すんじゃなくて、監禁しておくべきだったな……」
第四十七章 名も無き反乱 完
場面変更
次へ続く