複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.526 )
- 日時: 2016/05/09 19:12
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
犬山は、眠っていた無闇ルキアを人質に取る。
「動くな。この少年の頭が吹っ飛ぶぞ」
ルサンチマンは、包帯まみれになりながら説得する。
「止めてくれ……!」
アポロンは犬山に語る。
「言っておくけれど、私は目の前の怪我人をほっとけないんだ。その傷を手当しないと、黴菌が入り込み、命の危機に晒されるかもしれないんだ。だから、治療を受けるんだ」
「先生……」
「ブロッサムちゃん、惚れたのなら、チューしても良いよね?」
「ひゃ!ちょっと!?」
照山は、アポロンを抑える。
ちなみに、奏雲は伏見等の重傷者達を、奇跡で生き延びさせている。
「……この野郎。この状況で何言ってんだよ」
無闇は、寝ている。
犬山の銃には、八発の銃弾が込められている。
銃口は、無闇の頭を直接向けられている。
場所は、診察室。
いるのは、アポロンとブロッサムと照山、隣で診察を受けていたルサンチマンと、人質になった無闇。通り魔である犬山。
月丘は、体調を悪くして、病室で就寝。
犬山は、要求する。
「俺は此処から逃げる。逃走する為の車と、生活資金をくれ。無理なら、少年は死ぬ」
「怪我は……?」
「……こんな怪我。俺には、何ともない。これまで受けた、暴力に比べれば……」
「何か……あったんですか?」
「中学生に何が分かる!?」
「中学生じゃありません!私、これでも25歳なんです!」
照山は驚く。
「そうなの……?」
「おっ……耳元で囁かれると興奮するね」
照山はアポロンを殴る。
「世界一の外科医に何を……」
「……どうせ、医者なんて人の命を軽く見ているんだろ?全ては助けるも、助けないも金次第」
「そんな事……!」
「俺が出会った医者は皆そうだった。
原因不明の病。これが俺の病気の名前だ」
アポロンは、黒いシルクハットを頭から取り、診察室の机に置く。
「俺の寿命はもう無い。こんなに、元気なのにな……」
アポロンは何処かに向かう。
犬山は銃口を、アポロンに向け発砲。だが、銃弾は、当たらない。
「逃げたか……だから、医者は嫌いだ。自分の事しか考えていないからな。そう言えば、君の能力は、病や傷を治す能力だったはずだ。どうだ?私の不治の病を治せるか?タダで」
「今の私の力では、治す事は出来ません……。ごめんなさい」
「所詮は金か」
「違います。私には、未知の病気の処方の仕方が分からないんです……」
「人の命が救えなくて、何が医者か!」
照山は、犬山に近づこうとするが、ルサンチマンが止める。
「あの少年が……!」
「ブロッサムに治してもらえば、問題無しだ……。これしか、思いつかない……!」
ブロッサムは、か弱い声で呟く。
「私は、死んだ人を蘇らせる能力はありません……。本当にごめんなさい……」
「……此方こそ、申し訳ない……ブロッサムに責任を背負い過ぎた……」
犬山は、行列に並ぶイライラと同じ様にイライラする。
「あー……見るに堪えないな」
犬山は、ルサンチマンに発砲。
ルサンチマンは、崩れ落ちる。
「……!?」
「問題は無い。これでも訓練してきた身。急所は外している。ナースの君達は、動くな。確実に殺すぞ。俺はチャンスを与えているんだ。この場で、全員殺して、車で逃げても良いんだぞ?」
犬山は、無闇と共に、ルサンチマンを人質に取る。
「時間制限は、こいつが大量出血で死んだ時。タイムオーバーの場合は、全員死ね」
照山は犬山の心を見る。
「こいつ……この状況を楽しんでいる……」
「俺はもう、死ぬんだ。なら……生きている証って残したいだろ?」
「人の命を弄ぶあなたの行為は許せません!」
ブロッサムは激怒する。
「他人を巻き添えにして生きている証って何ですか!?」
「遺族の皆さんには、一生俺の事を覚えてもらうんだよ!俺を憎み続ける限り、それは評価はどうであれ、生きている証になるんだよ!」
「私はそうは思いません。死んだ後の意味の無い証より、今、現在をちゃんと生きて欲しいと思います」
「不治の病に、何を処方するんだ?ブロッサム先生」
「貴方には、これまでに行った事の後悔を処方します。他人の痛みを分かって、反省してください」