複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.529 )
日時: 2016/05/10 14:52
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

犬山は、過去を見返す。


幼い頃から、親に必要無いと、騒がれていた。

理由は、貧民層街で、子供は大人にとって邪魔でしか無かったからだ。

そして、あろうことか、親は、犬山を売った。

犬山は、兵士として、生死を関わる戦争に参加した。


「千石……。俺は、此処に売った親が憎い……。でも、俺が悪いんだろ?俺が全て悪いから、こんな所に……」

「犬山。その通りだ。都合が良いように解釈すれば、その分、楽になれる。どうせ、俺達は死ぬ、くだらねぇ国の為にな」



しかし、犬山は不治の病に発症。国は、犬山を兵士から奴隷に変更される。


周りの人々も、犬山を見る目を、兵士から奴隷へ変わって行った。



犬山は、治療もされず、寿命を待つしか無かった。


「……金が無いなら、帰れ。遺体を国の実験に使用出来るなら、話は別だが……」

「遺体なんて、いくらでも使ってくれよ!」

「奴隷の遺体なんて、いらねーよ。消えてくれ。他の患者の迷惑だ」






犬山の身体は、少しずつ弱って行った。



ちなみに、彼の病気は、成木 林檎と同じ病気である。






そして、奴隷の犬山は大神の声を夜中に聞く。






犬山は、大神に違法サイボーグになる事を志願。

大神は、無償でサイボーグ手術を施す。




「残念だが、お前の病気は治せない。だが、お前のこれからの混沌は、世界の歴史に名前が刻まれるだろう!」








そして、犬山は、無差別殺人事件を発生させる。



犬山は、隠していた罪の重みをブロッサムにより、引っ張り出される。


「俺は……人の痛みは……分かっていた。だが……痛みが分かったからってどうって事は無い……。俺は何人もの人を殺し、重傷にさせた。どうせ、死ぬんだから」



「貴方を動かしているのは、生に対しての執着心の無さですね……?」


照山は、心の中を見る。


「……この男の心の中は、枯れ木みたいに、何も無い。木が燃える様な復讐も、木が折れる程の憎しみも、何も無い。あるのは、死への虚無のみ」



「犬山さん。私は貴方のやった事は許しません。ただ、私が思うに、貴方が、全て悪い訳では無いと思いますよ」

「……?無差別に殺人を起こして、俺が全て悪い訳じゃない?面白い事を言うじゃないか」


「悪いのは、貴方と、貴方を見捨てた周りの人。そして、そんな貴方を創りだしたこの環境です」


「……」


「貴方が、もし裕福ならば、きっと、生きる証も考えずに幸せに死んでいたでしょう」


「何が言いたい?」


「傷付いた過去も、財産。貴方が受けた経験を元に、奴隷等の環境を変えるんです!富裕層街からでは、見えない隠された環境を、無知な彼等に教えるんです。如何に、酷い差別を受けて来たかを」


「無駄だ」


「ええ、大半数はそうです。だけど……変わる人もいます。富裕層街の人の中でも、差別をなくそうと努力している人はいます。



本当に、生きている証を残したいなら、死んでからの事を考えるのでは無く、今の自分に何が出来るかを考えるんです。ましてや、残り少ない寿命ですし……」



「……?俺には、分からない」


「大丈夫です、もう処方しましたから、後は、治るのを待つだけです」