複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.536 )
- 日時: 2016/05/11 15:12
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
外伝 痛み無き青年
此処は、安藤 対馬が普段活動している影の中。
そこに二人は、面に向かって椅子に座っていた。
「それで……大神さんを裏切れと……?面白いですね〜。冗談としては」
「……君と僕の仲じゃないか!」
「俺は、もう陸田組は辞めているんですよ?」
「申し訳ないが、僕は、もう限界を超えている。金はくれてやるから、大神と、千秋ちゃんの居場所を教えてくれないかい?」
「なら……条件を一つ。安藤さんから聞いたんですが、貴方は、超エリートの自らの家族である黒獅子一家を崩壊させてますよねぇ?理由を聞きたいのですけどー?アヒャハハ!!!」
「僕は、君の昔話の方が興味深いよ。是非、そちらからお願いしたいねっ!ひゃっははははは!……僕はそれから、話すよ。それで、これは、契約成立で良いんだよね?」
「勿の論論!」
俺の名前は、土田 桃李。
治安がクソ悪い貧民層街で生まれ育った。
親は、俺をゴミと呼び、玩具のように遊ばれた。
体は引き裂かれ、骨は何度も折られる。
俺は、耐えきれず親を殺した。
だが、俺は気付く。
「アヒャヒャ!……ウグッ!あー……腕が麻痺しているね〜」
俺は、体を傷つけないと生きていけない体にされていた。
自分自身を傷つける事が、最大の悦び。
親に調教された俺は、みるみる血と汗と涙に染まる。
両腕は、もう動かない。
一方、大神は。
「……陸田。お見舞いに行くぞ」
「ああ、ちょっと待って地下室から、フルーツ取って来る」
「この日だけは、この喫茶店も休業だな……」
七里 嘉が、大神が飲んだコーヒーを片付ける。
「あれ?今日は喫茶店、閉まっているのか?」
「おお、白樺。今日は、息子はいないのか?」
「仕事の帰りにコーヒーを飲もうとしてね」
七里 嘉は隠れる。
大神は、白樺の父親に事情を説明する。
「今、話題になっている幽霊屋敷あるだろ?あそこで、俺達が、高校生の時に一番最初の呪いの被害者のお見舞いに行くんだ」
「知り合いなのか?」
「親友でね……!」
陸田は、地下室にあるフルーツを取る。
「おい、扠武澤。機械を使えよ。手作りじゃ、サイボーグは出来ない」
「俺は、自分の手で完成させてやる」
「全く、お前がずっと此処にいるから、七里にも一度も会って無いじゃないか」
「黙れ」
「……分かったよ」
陸田はフルーツを取り、上に行く。
白樺の父親は、再び帰り道を歩き、陸田と大神は、病院に行く。
七里は、皿洗いを扠武澤は、機械の修理をしていた。
陸田と大神は、お見舞いをする。
「私のおかげで、彼女は完成された。あの美しい彼女は私の右目によって、完全な人間になれるんだ……」
「……小木……」
右目を失い、陸田と大神の前で意識不明で、ひたすら呟くこの男の名前は、小木 武一(おぎ たけいち)。
小木修一郎の父親の兄である。
陸田は、フルーツを食べる。
「おい、陸田。お前……」
「良いじゃん。美味しいよ?」
当時、陸田は発明家。扠武澤を助手に、機械仕掛けのカラクリをかなり創り、収入を得ていた。そして、喫茶店のマスター。七里は、アルバイト。
大神は、学校の先生で自身の不良経験をネタに、笑いを取る自称人気者。
あくまでも、生徒が自分の評価上げの愛想笑いと言う事は本人は知らない。
「俺の若い頃は……」が口癖。
陸田が、フルーツの食い過ぎでトイレに行った時、小木は別の言葉を呟く。
「……大神。……こんな世界、ぶっ壊してくれ。身分で差別されるこんな社会、混沌で破壊してくれ。そして、本来上に立つ、俺達、強い者が……支配するんだ!」
「永遠の支配なんて無い。小木」
「それで良い。世界は必ず変わる。秩序は破壊されるが、混沌はもう破壊されている。混沌が、全ての救済になるんだ!」
「……親友よ」
この日から、大神は良くも悪くも、変わる。