複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.58 )
日時: 2017/01/07 16:25
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

何故、俺は生まれて来たのだろうか……。

何故の為に俺はここにいるのだろうか……。

片手に持っていたスマホの画面からニュースが聞こえる。

「速報、速報です。え〜現在ですね。通称、『幽霊屋敷』と呼ばれていて、その屋敷に入った者は必ず右目を失ってしまう事で世間を賑わせた空き家に火事が発生している模様です。お近くの地域の方は今すぐ避難してください。繰り返しお伝えします……」

俺は呟く。

「この近くの地域って此処か……。まあ、別にどうでも良い。だって、俺はこれから死ぬから……」

俺は今、学校の屋上にいる。しかも、今にも飛び下りられる位置にいる。

足が震えている。分かる。俺は自殺しようと決意しているが、身体が一歩も動かない。俺の足が一歩、いや半歩でも動いてくれれば、この生き地獄から解放されるのに……!そうだ。違う事を考えながら、自殺すれば……。

ああ、それにしても何て奇麗な夜景だ……。大嫌いなはずの学校からこんな景色が見えるなんて……

突然、一人の人物が俺に話しかけた。

「やあ、君は……五十嵐 光成(いがらし こうせい)君だっけ?。この学校の生徒だよね?もう、とっくに下校時間が過ぎているけど、こんな所で何をしているんだい?」

その声の主は、教育実習生の白咲先生だ……。どうして……?

白咲先生は続けて俺に話しかける。

「僕は、大神校長先生の用事が終わったから気分転換に屋上へ来ていただけだよ。それで……君、死んじゃうのかな?屋上から飛び降りて……」

俺は、スマホの画面を白咲先生に当てて、ゆっくり安全な所へ移動した。
俺は話す。

「はい、そうです。俺は死ぬ為に今、学校の屋上にいます。理由は……」

白咲先生が俺の話を遮る。

「ん?僕は君が死にたい理由なんて聞いてないよ……?と言うか知る必要無いと思うしね。それでさ、君は今、死にたいんだよね?ならさ……良い所があるよ。もう夜だけどついてきこれるかい?それとも明日にする?親とかが騒がれると困るんだよね」

良い所?まさか、楽に死ねる場所とか?でも、何で白咲先生がそんな所を……。

勿論、白咲先生に俺はついていった。俺はもう死ぬ人間だ。何も失うモノは無い。騙されても構わない。それに、両親は数年前に何処かに行ったきり行方不明だ。祖母や祖父はもう他界しており、親戚等は俺は全て把握していない。何処に親戚がいるのかさえ分からない状態だ。だから俺は一人で何とかバイトをして生活している。まあ、辛いが死ぬ程の理由では無い。死ぬ理由は、もっと根本的な所にある。

俺は話しかける。

「良いんですか?先生がこんな事して……。先生にも迷惑がかかるんじゃ……!」

白咲先生は話す。

「まあね。でも、迷惑どころか感謝されるからね、心配しなくてもいいよ。まあ、実際少し後に迷惑はかけるからね……。あ〜、楽しみだな〜。スパイを殴り殺し火葬させるのが……」

俺はその発言で、かなり心配になってしまった。しかし、今逃げたら何か怖そう。

着いたのは、貧民層が住んでいる所の喫茶店。

どこの国でもそうかもしれないが、この国では、富裕層と貧民層が存在している。そして、富裕層が住んでいる所を富裕層街。貧民層が住んでいる所を貧民層街と呼ばれている。富裕層街は大きなビルが幾つも並んでいる高級住宅街である。貧民層街は段ボール小屋が並んでいる。つまり、ホームレス達が集う街である。だが、段ボール小屋しか無いと言う訳では無くちゃんと建物も存在している。
このように、大きく格差が生じている。勿論、どちらでも無い、普通の層も存在している。俺は、辛うじて普通の層を保っている。

俺達は、喫茶店の中へ入った。

喫茶店のマスターらしき中年が話す。

「いらっしゃい。何にしますか?」

白咲先生は話す。

「陸田 利久(むつだ りく)さん。白咲です」

陸田と呼ばれたマスターは白咲の方を向いて話す。

「白咲か……!んで、……この制服を着ている小僧は誰だ?」

俺は戸惑いながら自己紹介した。

「お、俺の名前は、五十嵐 光成って言います。死ぬのに良い場所があると聞いてここへ来たんですけど……?」

陸田さんは、話す。

「五十嵐って言うんだな……へヘッ。おい、白咲!ほら、褒美の金だ!後、大神に話があるから予定開けとけって伝えろ」

大神?大神って校長先生の苗字だ。陸田さんは校長先生の知り合いなのか?俺は、混乱している。

白咲先生は話す。

「そう言うのは、土田さんに頼んでください。僕、大神さん以外に頼まれるの嫌なんで。まあ、一応大神さんには伝えておきますけど……」

そう言って、白咲先生は喫茶店を後にした。

陸田さんは、階段に上がって何処かへ行った。

声が聞こえる。

「七里 嘉。地下室のドアのスイッチを押してくれ」

別の声が聞こえる。

「うん、分かった。けど……」

また声が聞こえる。

「大丈夫だ。前の様に、無残には殺さないから。だから、泣きそうな顔するなよ……」

……俺はこの場から逃げた方が良いのか?