複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.61 )
日時: 2017/01/09 13:46
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

俺は、そんな事を考えている内に陸田と言う男によって地下室につれていかれた。

俺は拘束された。

陸田が何かの片腕と手の形をした機械を持ちながら話す。

「さて、俺が造ったサイボーグの腕の部分の性能実験と行こうか……。新しく、土田の腕の部分をメンテナンスしないといけないからな。さて……土田がもうすぐ来るはずだ。おい、七里。スマホで五十嵐の事ちゃんと撮っているか?大神にサイボーグの性能を見せないといけないからな」

何処かで見た事のある制服を着ている俺と同じ位の年齢の女子は答える。

「ちゃんと撮っているから大丈夫だよ……。でも、私土田さんと会うの初めてでちょっと怖い……ねえ、何処かに隠れても良い?」

陸田は話す。

「相変わらず、人見知りが激しいな……。せっかく、素晴らしい能力を持っているのに……へヘッ」

……何か、恐ろしい事が起ころうとしているのが嫌でも分かる。どう考えても、楽に死なせてくれそうも無い。ああ、俺はやっぱり……。

少し時間が経ち、一人の男が地下室へ入って来た。

「陸田さーん。こんばんわっす。土田でーす。あの、ガム食いますか?それとも、ピアス開けますか?それとも、早速、サイボーグの腕の部分のメンテナンスですか?」

陸田は話す。

「ああ……。新しい腕が出来た。前の腕と取り替えて、実験台で性能を試してくれ。拳銃はここにある」

実験台?実験台ってまさか……!

土田と言う男は、自分の腕をもぎ取る。腕は機械だった。腕が機械って……ニュースで見た事があるぞ。最近、違法サイボーグと呼ばれる本来の目的とは別に不正にサイボーグ手術を行い、機械の身体を手に入れる人達がいるって事を……。

でも、そう言う人って確か、富裕層が多いって聞いたけど……。
って、今はそんな事考えている場合じゃないな。

陸田は俺に向かって話す。

君の選択に神の御加護があらんことを……

その呟いた言葉は、今の俺には理解出来なかった。

続けて、陸田は話す。

「死に行く君に問う。君はこの世界をどう思っているか?君の眼球からは世界はどう見えるんだ?君の脳は世界をどう考えているんだ?」

俺は急な質問に答えられなかった。土田は、サイボーグの腕を取り替えている。

陸田は再び話す。

「ああ、さっきの質問は答えがもう決まっていたか……。この世界に対してマイナスなイメージを持っているから死にたいんだよね。分かり切った質問をしてしまったな……。

さて君は、これから死ぬ。君はこれをどう捉えているんだ?

やっと、自分の肉体と言う名の柵から抜け出せると捕えているのか……。

それとも、何かの宗教の様に、生まれ変わり。つまり、輪廻転生を考えているのか……。

それとも、生まれ変わらずに、「無」と名前を変えて、消えてしまうか……。

いずれにしても、君の死は無駄では無い。だから、祝福してやろう。そして、最後に1つ、祝福内容を選択してくれ。

現世の終わりを祝福するか、来世の始まりを祝福するか、君自身の消滅を祝福するか……
選んでくれ」

……やっぱり、普通に死ぬべきだったかも。

そして、土田が俺の方へ拳銃を向けている。

土田は話す。

「まずは……右足っすね。じっくり、なぶり殺してあげま〜す。やっぱ、人を撃つのって最高にハイになれますね!」

土田は俺に向けて銃を撃とうとして引き金を引いた時……。

突如、銃を投げ飛ばしながら、土田が話す。

「おっと?銃が暴発する感じみたいですよ!おー、超危険っすね!」

俺は超能力者。超能力の内容は、『自分と自分に関わった人物の幸運を不運にしてしまう』と言うマイナス能力。
この能力のせいで、多くの人達を不幸にしてしまっている。
そしてこの能力は、生まれた時から持っていた能力では無い。

超能力は遺伝である。多少、親等の親族とは能力内容は変わるけれども、大きく変わる事は無い。

超能力が無い人は、超能力がある人と子を授かってもその子供は多くの確率で、超能力を持たずに生まれる。俺は、超能力が無い人間だった。

超能力は、遺伝の為、超能力が途中で目覚めると言うのは有り得ないと授業で受けた事がある。

しかし、ある日、俺は超能力を手に入れていた。次々に親族が不慮の事故、病気等で死んでいき、遂に両親も行方不明。

俺自身も、不運が次々と起こった。そして厄介なのが俺には、死に対してだけ、ある運を持っている。

それは強運だ。

実は俺は何度も死にかけている。不運の能力で車が有り得ない方向にいる俺の方に突っ込んできて、死者を出した事故でも、強運の能力でギリギリで生きている。そんな事が数えきれない程ある。

これは、不幸中の幸いが何度も起こっていると言う事だ。しかも、死に対してのみ。

つまり、不運で普通なら死んでしまいそうな事故、事件でも、意図的に死のうとして自殺を試みるも、必ず、強運の能力が働き、生きてしまうと言う事だ。

これが、俺が死のうと思った理由。

俺は親からも、人からも、世界からも見捨てられたんだ。