複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.615 )
日時: 2016/05/25 16:58
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

サラマンデスは立ち上がり、血反吐を吐きながら呟く。

「お前たち人間は私利私欲を肥やすことできない愚かな種族だ。実力もない癖に集団を作り、自分たちと異なる種族を恐れ、排除しようとする姿……今も昔も変わらない」


照山とブロッサムは、近寄ろうとするが、ルサンチマンが止める。

「……俺の時と、訳が違う。世の中には、根からの悪人はいるんだよ」

「患者に善悪の区別はありません。病に苦しむ人を救うのが医者の仕事ですから」

「……お前は、人々を避難させろ」


サラマンデスは警戒する。

「寄るな、人間!サディスの願いを踏みにじり、そして、彼が愛し続けた人類め……!」


「……事情は分かりませんが、私は内科でも、治癒能力や内科の知識があるので貴方の怪我を治せます!私と照山さんに治療させてください」


「そう言って、俺を殺すのか。卑劣で汚い人間の考える事だ!何が有ってもおかしくないんだ」


「私達はそう言う事はしません」

「今なら、間に合う。治療をさせてくれ」



「……シーザーと俺は違う。俺は、人間を信じない」


「例え、貴方が私を信じなくても、私は貴方を信じます。ね?照山さん」

「私達なら、アンタを救えるんだ。意地を張るな」


「……!」













サラマンデスは、シーザーの事を思い出す。




「……何故、俺を助けようとする。俺は、サディスは世界を滅ぼすんだぞ。いや、救済するんだ」


「私達は、一人の怪我人を助けようとするだけです。貴方が怪我から回復したら、私達は貴方を説得します」


「逝くな……生きてくれ」


ブロッサムは、サラマンデスを見つめる。


照山は心の中を見る。


「何処となく、誰かと似ているな……」



サラマンデスは、フレデリックの事を思い出す。





ブロッサムは、サラマンデスに触れる。


「止めろ!」


サラマンデスは、鱗を剥がし剣を生みブロッサムを刺そうとする。


ブロッサムは、驚く。


サラマンデスは、剣を自ら止める。




照山が透視し、指を指した所にブロッサムが触れる。


「……体が」

「私は貴方を治しました。それでは、これからは、患者では無く敵として話します」


「……」


「私は、今幸せです。貴方の救済なんかお断りですよ」

「私も、幸せだ。人々を救っているからな」



「……何をいきなり……」


「確かに、この世界は争いが絶えず、とても歪でくだらない世界で……」


照山は、ブロッサムの隣に行く。



「とても権力で溢れている世界だ」


「だから、サディスが救済すると……」


「何も無くなる事が世界の救済なんですか?どうして、そんな事を……」


「……虚無こそ、真の平和。人間を捨てたサディスは、そう思っただけの事だ」


「何も無くなるって本当に意味分かっているんですか?貴方達のやっている事は、ただの大量殺人者です!」


「世界が滅亡する。人間ごときが創った法を我らに押し付けるな!」


「この世界の人間が創った法が、この世界の基準となる正義です!」




照山は、ブロッサムと手を繋ぐ。




「貴方達は、自分の思い通りにならないからって、全部消せばいい?ふざけないで下さい。リセットしたら、もう……戻れないんですよ。この世界の全てを貴方は知っているつもりなんですか?」

「……お言葉だが、我らは三千年以上、この世界に触れて来た結果の結論だ」


「三千年?この世界は、何年生きていると思っているんですか」


「世界……」


「これからの世界も見ないで、これからの未来も見ないで、決断しないでください!」



「……」



「皆。自分の欲の為に選択していますよ。でも……人の為に選択している人だっているんです!その人達の事をちゃんと見て下さい!貴方達は、世界しか見ていないんですよ!一人一人、ちゃんと見て下さい!……どうして、滅亡なんて言うんですか。あまりにも、これから生まれる者達が可哀想です!幸せを感じている者達が可哀想です!



貴方の選択が、間違っているとは言いませんが、全てを滅ぼせば無かった事になるなんて酷すぎます!

貴方達を、大量に殺人を犯した犯罪者にさせたくないんです!」



「……犯罪者?我らが?」


「それ以上でもそれ以下でもありません。後は、貴方が決めて下さい。


貴方が、世界を滅ぼす選択をすれば、私は、私達は全力で止めます。


貴方が、世界を滅ぼさない選択をすれば、貴方の仲間も説得して、犯罪者になんかさせません」










「俺は……」



照山は叫ぶ。



「……私は、誰に言われようが、苛められようが、この世界が大好きなんだ。こんなに素晴らしい友に出会えたから……。だから、世界を滅亡させないでくれ、頼む」