複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.622 )
- 日時: 2016/05/24 18:29
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
ある者は言う。
「……これからの世界は、√2の世界か……」
時は戻る。
フレデリックとハーデスは、話していた。
「サディスを元に戻したいんです」
「無駄だ。遅い」
すると、フレデリックの真上にレオトリアが現れる。
「……フレデリック!」
ハーデスは、レオトリアを封印しようとするが、フレデリックはハーデスの目の前に行く。
「もしも僕が君のために命を投げ出したら、君は人間達をこれ以上殺さないって誓ってくれる?」
「何故お前程の者が、そこまで命を投げ出す」
「僕は、シーザーの望む世界を見たいから。サディスとサラマンデスと……それから、嘗て、人格者だった君と」
「……人格者として見てくれたのは、お前とサディスとサラマンデス、シーザーだけだ。人間は私を悪魔としてしか見ていない」
「人間?君の方が人間を自分が嫌っている者だと思い込んでいるんだよ」
「……?」
「君を崇拝していた国も、ちゃんとある」
フレデリックは、ハーデスの像が建てられていた国の方を指差す。
「そうか……。だが、私は納得はしない。一度決めた選択は変えない」
「そんな……!?」
「だから、納得させて見ろ。私と闘え。フレデリック」
レオトリアは、ハーデスに隙が出来るとサラマンデスの方へ向かう。
「闇の隙は、心の隙。ハーデス、君は……」
「もう一度、人間と共存を目指すのならば、友を殺す覚悟を決めろ。それくらいの覚悟が今、必要としているのだ」
サラマンデスは、剣を持ち暴れる直前だった。
ブロッサムを守ろうとアポロンや照山、奏雲等が盾になろうとする。
すると、レオトリアがサラマンデスの剣を止める。
「フレデリックの命により、助太刀いたす」
「お前は、誰だ。名を名乗れ!」
「俺は、貴様の過ちを止めに来た。サディスが来るまで、待っていろ!」
「サディスが……」
「お前を説得するだろう。人間との共存の為に」
「俺は人間が大嫌いなんだ」
「……理由は」
「人間の醜い感情を見続けたからだ」
「そうか……。しかし、未確認生命体だって、醜い感情を持っている。王とか、王とか、王とか」
「そうだな、七つの大罪に入っているお前も、醜いが」
「自覚している……まあ、俺はお前を暴れるのを抑えるだけだ。後は、サディスに任せるよ」
ブロッサムはアポロンに連れて行かれる。
サラマンデスは、ブロッサムを見る。
「……確かに、人間にも綺麗な心を持つ者はいる。だが……俺は、サディスの決断に従うのみ」
「そーかい……」
ハーデスは攻撃するが、フレデリックは避け続ける。
「フレデリック。殺さないと、世界は滅ぶぞ」
一方、王とオベルムントとサディスとシーザーは。
王の目の前には、サディスがいた。
「……俺は、お前が羨ましかったんだ……」
「このまま頭を掴み、世界を滅亡させるよ」
シーザーは、サディスを止める。
「サディス!止めろ!俺はお前を、犯罪者にしたくないんだ!お前の選択で誰が幸せになるんだ!皆、不幸になるだけだ!」
「争うよりマシだ」
「……サディス!」
王は、呟く。
「強者は良いよな……。なんでも、思い通りにできるんだから」
「我が弟よ……最後の言いたい事は何だい」
「……君は、どんどん大人になった。僕は、何時の間にか取り残された。それに、イライラしちゃってね。君を恨んだ。そしたら、ハーデス君に半殺しにされてね。僕は、あの時から時間が止まっているんだよ。
君は、僕を見捨てていれば良かったのに、人格者の君は、ずっと、僕を救っていた。
すごく、助けられているのが悔しくてね。そして、僕は、君と決別しようと思ったんだ」
「……サディスクラブをテレポートした時だね?」
「そう、実際に人間を変えようと思った。だけど、何も出来なかった。自分は、兄がいないと何も出来ない、なんて思われたく無かったんだ。
僕は人格者サディスが嫌いだ。だけど、兄として、家族としては、僕は君を尊敬しているよ」
「それが、弟の気持ちかい?」
「そうだ、兄だけ名前が付いていて、弟の僕には、名前が無い。僕は、いつも下の地位だった。だから、復讐したんだよ。サディス君。今のは、王の気持ちだ。弱者の気持ちも、分かりたまえ。そうすれば、人間との共存の道は開かれるかもね」
「共存……」
「アディオス、兄貴」
王は、テレポートを使う。
オベルムントは、泣きながら驚く。
「……この状況で、逃げた……。クズはやっぱり、クズなの!?」
シーザーは呟く。
「いや、テレポートしたのは、王じゃない。私達だ」
シーザーの身体は元に戻り、オベルムントとサディスとシーザーは、サラマンデスの元へテレポートする。
シーザーは、上を向き、ハーデスがフレデリックに攻撃する所を見る。
「……ハーデス」
シーザーは、ハーデスの元へ行く。
サラマンデスは、サディスと話す。
「……サディス。決断しろ。世界を滅ぼすのか?」
「私達は、人間の気持ちを理解しないでいたのかもしれない。そして、醜い感情しか対処しようとせず、美しい感情を当たり前のように見てしまった」
「……」
「帰ろう、私達が笑っていたあの世界へ」
「……俺はサディスの言葉についていくだけだ。そこに感情は無い」
フレデリックは、ボロボロになりながらハーデスの攻撃を避ける。
シーザーは、ハーデスを止める。
「……正義の味方」
「止めろ!仲間だろ!」
サディスとサラマンデスも、ハーデスの元へ行く。
「良いんだ、ハーデス……」
ハーデスは、攻撃を止める。
「フレデリック。貴様の覚悟は見届けた。私も、サディスの言葉に従うのみ」
フレデリックは、自分の受けた怪我を治す。
「……ハーデス。僕を試したのかい?」
「三千年以上の付き合いなのに、申し訳無い。さて、帰るぞ」
シーザーは、剣を上げる。
「人間と、共に生きよう!」
ブロッサムは、オベルムントを助ける。
「……大丈夫ですか?」
「貴方は、私を怖がらないの?」
「怖いですよ。でも、それは互いに何も知らないからです。知りあえば、話し合えば、変わりますよ」
その後、世界が滅亡する事は無く、ガセネタと言う発表がサディスから出された。
人々は安堵し、日常へ戻る。
人間側は、未確認生命体との共存を目指す組織を設立。
そして、未確認生命体と呼ぶ者は少しずつ少なくなった。
もう、確認されているのだから。
しかし、争いは現在も続く。
差別も終わらない。
だが、世界は少しずつ変わって行った。
「今日は世界が興隆するには良い日だ」
第五十四章 名も無き興隆 完
場面変更
次へ続く