複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.652 )
- 日時: 2016/05/31 16:08
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第五十七章 名も無き丁
少し前に時間は遡る。
天竒はロンギヌスの拠点にいた。
「陸田組の場所が分からないぜ。バカでかい貧民層街で分かる訳無いぜ。まあ気楽にやるか!」
天竒は何もせずにゲームをしているメンバーを見る。
「……おいアンタ……やる気が無いなら此処から消えてくれ」
「……天竒さん。もう止めましょうよ。こんな事!警察に一撃与えたって我々の人生が……めちゃくちゃに!」
「覚悟が無いんじゃ、いる意味無いよな?腐った巨大組織を潰すには人生を犠牲にしないと駄目だぜ」
天竒はメンバーを追放する。
天竒は疾風を呼ぶ。
「お師匠様!何やねん!今折角学校に登校しようと思ったのに」
「登校って午後だぜ?マイペースにも程があると思うぜ!まあ、疾風 なみれ程の頭の良さなら学校にも行かなくて良いと思うけどな」
「勉強より友達に会いたいんや。しかも引きこもりになっとるからアタイが傍におらなあかんでっしゃろ?」
「方言が凄いぜ」
「それで用は何や?」
「警視庁の資料室に行って欲しいんだよ。警視総監と陸田組の横流しの証拠を掴むんだぜ!」
「えー何なんねんお師匠様〜何でアタイがやらなあかんねん……マジでめんどくさー」
天竒は小声で話す。
「機士なら簡単だぜ?」
「分かったわ。それじゃ鈴も連れて来てええか?」
「そこは製作者の許可が必要だけど、まあ勝手に連れ出しても大丈夫だぜ!」
「あ、でも、高校は義務教育やないから登校はするわ!」
疾風は学校に向かう。
疾風 すみれ。〈製作者〉に創られた【機士】の一人。学校には普通の人間として登校している。
当初から人間としての知識を学ぶ為に高校に通っていたが、あまり興味が無く、学校にはあまりいっていなかった。しかし五十嵐 蒼の件で五十嵐の事が心配になり、比嘉が転校した後、五十嵐、見境、七里、一之瀬と仲良くなった……。
疾風が着いた時は、丁度昼休みだった。
弁当をそれぞれ食べ始める頃、疾風は先生に遅刻を連絡して七里の元へ行く。
「嘉!」
「なみれ……」
七里は極度の人見知りで一人で食べていた。
「蒼と紬は今日も来てへんのか?」
「うん……少し寂しいけど」
「燈は?」
「何かお父さんの様子がおかしいって騒いでるよ……」
「何か散らばっているな……それぞれ事情を説明するしか……」
七里は泣き始める。
「どっどうしたん!?」
「……はあ、私の彼氏も」
「ああ……五十嵐 光成やろ?体調が悪いって言っていたけどルルディさんがおるから問題無いやろ?」
放課後、七里と疾風は見境の家を訪問する。
「……お母さんはほぼ帰って来てないらしい」
「そうか。まあ親っちゅうもんがおるだけ幸せや」
疾風はインターホンを押す。
すると、家の中から走る音が聞こえる。
ドアは開かれる。
「……三月……!」
「お見舞いに来たで」
「……上がって良いわよ」
疾風と七里は見境に事情を説明して欲しいと要望する。
見境は少しため息をつく。
「お節介ね。他人の不幸がそんなに聞きたいのかしら?」
「……違う」
「あたしの彼氏に振られてショックだから学校まで休んで引きこもりになったのよ。彼氏持ちの嘉、これで満足?」
疾風は見境に話しかける。
「七里だって心配なんや。そんなキツイ事言っちゃ駄目よ」
「……帰って……帰って!」
七里と疾風は追い出される。
「……紬」
「大丈夫」
疾風と七里は五十嵐 蒼の元へ行く。
五十嵐 蒼の能力は人の心を読める能力。そのせいで酷いイジメにあってきた。
親は育児放棄をして、現在は一人暮らし。一時期は照山と一緒に同居していた。
しかし照山がいない現在は、以前にお世話になっていた孤児院の人達が面倒を見ている。
五十嵐は日々のストレスを抱え込んでしまい全てに怯えていた。
「止めて……来ないで!」
五十嵐の拠り所は今無き青い星のみ。
なので、チャットと言うゲームの機能で会話をする。
五十嵐はチャットで自殺を仄めかすような供述を書き込む。
原因は照山が帰って来ない事と親友を失った事だった。
七里は叫ぶ。
「……死にたくても死ねない奴だっているよ!ずっと死にたいのに生きている人間だっているんだよ!」
七里は不老不死。不幸の能力を持っている五十嵐 光成と共に生きる事を決意していた。
そして前の世界を知る数少ない人物。
すると、五十嵐の家に一之瀬が向かっていた。
「……なみれ!嘉!」
一之瀬は泣き始める。
「お父さんが……壊れちゃった」
七里は五十嵐を説得し、疾風と一之瀬は一之瀬の父親の元へ行く。
「救急とか連絡したんか?」
「……出来ないよ」
「え?何でや?」
二人の少女の前にマネキンを抱えた父親が現れる。
「……あっははははは!ルメール!帰って来たんだね!」
「違うよ!」
「嘘なんか着かなくて良い!」
「な、なんや?」
「お父さんは自分で能力である洗脳を使い、私をルメールだと判断するようにしたのよ」
「……洗脳?どっかで見た気がするけど」
その後、一之瀬の父親は病院に運ばれた。
七里から連絡があり、説得は出来なかったとの一言。
疾風は自分の不甲斐なさにショックを受ける。
「アタイは強いけど……人一人救えないんか」
すると、疾風の目の前に誰かが現れる。
「あーなみれちゃんだー!にゅー!」
誰かは疾風に抱きつく。
「狩峰 鈴やないか!大丈夫なんか!?勝手に覚醒せいへんのか!?」
「わーん!大丈夫だよー!」