複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.66 )
- 日時: 2017/01/09 13:49
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
今、思ったんだが、陸田さんの家の状況は、シェアハウスの様な感じか?まあ、家賃タダだし、飯も最小限貰える。さらに、働く場所(喫茶店のアルバイト)も提供している。そして、隣の部屋に女子がいる。
何て素晴らしい環境なんだ……!
俺は、舞い降りた幸運を噛み締めた。
すると、突然叫んでいる声が聞こえる。
この声は、一之瀬の声だ。
何か、騒がしいな……。
俺のクラスは4組。一之瀬のクラスは5組だ。5組と言えば、クールでアイドル並に顔が整っている見境 紬と言う同級生がいる。
俺は、見境さんが好きだ。
出来る事なら話がしたいな……。
そんな事より、早く宿題しなければ!
そして、俺は帰宅した。
俺は、帰宅してから喫茶店のアルバイトをする。
勿論、七里さんと一緒に。ちなみに、陸田さんは何か用事があるみたいだ。
しかし、客がまったくいない。調理担当等は、七里さんがしてくれるみたいで、初心者の俺は皿洗いをさせられている。しかし、客が来ないのなら皿に乗った料理がつくられる事も無い。料理がつくられないなら、皿が汚れる事も無い。皿が汚れる事は無ければ、皿を洗う事も無い。つまり、俺は今、暇と言う事だ。
七里さんが俺に向かって話す。
「この時間は誰も来ないよ。……五十嵐の能力は、自分と周りの人の幸運が不運に変わる能力。貴方はそれを最悪な超能力と呟いていた」
何故、俺の能力を?
七里さんは続けて話す。
「私の能力は、不老不死。突然変異か何なのか分からないけど、15歳の時に手に入れられるはずの無い超能力を手に入れた。そして、不老不死の能力を手に入れた私の時間はその時から止まってしまった。そして、その超能力の影響か分からないけど私の髪の色も白い色へと変わっていった。
これで、貴方の能力より最悪と言う事が分かったでしょ?ただただ老いる事も無く、死ぬ事さえ許されない、永遠に時を過ごす能力」
……俺は話す。
「嘘なんですよね?そんな能力があるなんて……かなり良い能力ですよ!何が最悪な超能力なんですか!」
七里さんは、きょとんとした顔で俺を見ている。
俺は話す。
「だって、死ぬ恐怖とか、老いる恐怖とか無いんですよね?永劫不変の肉体を得られるなんて凄い!通りで、ご飯を食べている所を見ないと思ったんだ!もう、無敵と言う事!?……俺も不老不死だったら、こんな人生歩まなくても済んだかも知れないのにな!」
七里さんは、話す。
「……ふう。私も最初はそう思ったんだ。でも、少し経つとね……。あっという間に、周りの人が寿命や戦争で死んでいくの。そして、私は孤独になった。時の感覚が狂い、脳の記憶の容量がオーバーして、昔の記憶がどんどん消滅していく。そして、残るのは孤独の記憶のみ。
そして、私は恐れた。生きると言う事に」
俺は話す。
「七里さん……。確かに、考えて見ればそうですよね。さっきの言った事、ごめんなさい……」
七里さんは優しく話す。
「まあ、五十嵐の能力も最悪って言いたくなる程の超能力だけどね」
俺は話す。
「まあ、俺は世界から全てから見捨てられましたから。でも、不老不死とはな〜驚きですよ」
七里さんは話す。
「五十嵐は、時間からは見捨てられないよ。だから、自信を持ちなよ。自分より最悪な超能力を持っている人がいるって思うだけで世界や時間の捉え方が大きく変わると思うからね」
俺は喋る。
「七里さんを踏み台にして自信なんか持てませんよ」
七里さんは話す。
「良いの、踏み台にして。五十嵐には、私と違って時を刻んでいるから。後、敬語じゃなくても良いし、七里さんじゃなくて、嘉って呼んで。何か、他人行儀で寂しいし。ね?良いでしょ!」
俺は話す。
「それじゃ、まずは嘉さんで……」
俺に見せた嘉さんの笑顔は、普通の15歳の少女の様だった。とても、不老不死を感じさせない普通で平凡な笑顔。そう、彼女は不老不死と言う大きな鎧を消してしまえば、彼女は普通の少女だ。
別の日……。
「おはようございます。陸田さん。嘉さん。ん?陸田さんって朝ごはんを食べながらスマホを見て、テレビのニュースなんて見るんですか?」
陸田さんは話す。
「ニュースを見てみろ。この近くで、ビルが2棟破壊される事件が起こったみたいなんだ。原因は不明らしい。しかし、今、スマホでインターネットに接続してこの事件の動画を検索するとな……。誰が撮ったか知らないが、誰かと誰かがビルで戦闘しているのかが分かるんだ。警察は、どう対応するかは分からないが……」
俺は、話題を切り替えて話す。
「そういえば、今日体育があるんですよ。ジャージって何処に置いてありますか?」
嘉さんが、俺のジャージともう1つのジャージを持ってくる。
嘉さんが話す。
「今日から、私も学校に行くから。だから……宜しくね。五十嵐」
最近、不運が無い気がするな……。まあ、かなり良い事だけど。
そして、この時の俺は知らなかった。彼女の本当の気持ちに……。
「誰か、私を殺して……?」
何処か……。
「何をしているんですか?ここは、立ち入り禁止です」
「お前は妖精のオベルムントか……。この世界の真実を知る者が、人間にいるらしいんだ。今から俺はその人物を探しに行く。しかし、君に見つかってしまったか……。君の能力からは俺は逃げられないな……折角、人間の所へ向かおうとしたのだが」
「私は、無駄に生命体等を『消す』事はしませんよ。とても、悲しい気持ちになりますし……。悪魔さん!人間界に行くのは良いですが危害を加えた場合、どうなるか分かってます?」
「良い子だな……妖精さん。さて……俺はこの人間の世界と、俺達の世界の境界線である結界を破る。俺は、もう君達の考えにはついていけない。愚かな人間共には、真実を伝える必要があるんだ」
「貴方が、この世界の真実を口にしてしまうと……!」
「冗談だよ。少し観光に行くだけだ。15年後に戻るから安心しろ。さて、とある地域で右目が無くなるって言う幽霊屋敷があるらしいけど、どんな物か楽しみだな〜!」
この世界では、未確認生命体が確認されている。昔は、人間と共に暮らしていたが、人間の差別に耐えかねた未確認生命体は結界を張り、人間を見守る存在となった。その見守ると言う上からの態度に腹を立てた人間側は、人間と未確認生命体は平等であるべきと結界を無くす交渉が現在も続いている。
第六章 名も無き永遠 完
次へ続く。
主人公、視点変更。