複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.710 )
- 日時: 2016/06/14 15:05
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第六十二章 名も無き柚子
アポロン医院に入院していた恋色羽と香川は退院していた。
「何か慌ただしいな。月丘君とか……」
「色々、あるんだよね〜。患者には」
「まあ恩人に良からぬ詮索は不要だな。それでは……いくぞ、輪廻」
「うん!」
星空は恋色羽を見つめるが、悔しそうに照山を見る。
「此処は、照山に焦点を変えるか……。実に惜しい……恋色羽……」
香川は誰かと連絡する。
「初凪。私は遂に輪廻を証明出来る事が可能になった。恋色羽と言う人物を連れて、そちらに向かう。……言っておくが、娘の自慢は結構だ」
香川は電話を切る。
「誰に連絡を……」
「学者からだ。君の能力が認められれば、正体が不明だった死後の世界と言うモノが解明出来るんだ」
「言っておくけど、悪用したら君達も僕と同じ道を辿るよ?」
「君となら構わないよ」
「ふふっ……まあ能力はもう香川には発動しているから、今さら悪用されても困るのは僕なんだけどね」
「私が死んでも私でいられるのですか。君と……」
香川は恋色羽と共に、富裕層街の一軒家に行く。
香川はインターホンを押す。
「……香川だ」
「香川君、待っていたよ。大山君は来ていないのか?」
「大山は行方不明です」
「ああ……でも、行方不明だった奴等は一斉に元に戻ったんだろ?記憶を無くして……」
「まあな、それより、家の中に入りたいんだが」
香川と恋色羽は家の中に入る。
「初凪、この娘が恋色羽だ」
「……恋色羽輪廻です」
「香川……残念だが、娘は学校でね。妻に早退させろと言ったんだが……」
「僕達の為に……?」
「……」
「輪廻、ジョークにきまっているだろ。……そう言えば、奥さんは先生だったな」
「あ、ああ……。家内は娘と同じ学校で教師をしているんだ。なんだか、寂しいよ。私と妻の精神が交換出来たら良いのに……」
「そんな事の為に……?」
「輪廻……」
「まあ、冗談はこれくらいにして……輪廻転生の事実を見つけられたのはノーベル賞並の大発見だ。詳しく君の説明を聞き、似非では無かったと判断したら、私から推奨させてやろう」
「ありがとうございます」
初凪は、世界的に有名な学者。はみ出し者(オカルトの研究をしている為)の大山と香川を認めている人物。
そして、初凪と香川は偶然にも同じ能力の所持者。瞬間記憶能力を持っている。
「その前に、私の自慢の娘の話をしよう!」
「……これもジョーク?」
「輪廻、これはジョークでは無い……」
一方、初凪の娘は。
10歳の為小学校に通っており、小学五年生である。
容姿は、黄土色のぱっつんボブ 紫色の瞳 服は全体的にかわいい系の制服みたいな感じ ハイソックス 黒のローファー。
担任は一年生の時からずっと母親。……何らかの権力が働いている事は間違いない。
京咲 臨音もこの学校に通っている。しかし、接点は無い。
「は、初めまして。初凪 楪 です」
彼女は、前に出て黒板の前で自己紹介をする。
目立つ事を嫌っていた彼女だが、教師である母親は彼女の素晴らしさを語り始める。
初凪は恥ずかしそうに顔を下に向ける。
「そんな……大した事無いのに……こんな能力」
他の生徒たちは彼女を一目置くが、近寄り難そうにする。
「いや、楪さんとは話せないよ……。高嶺の花だよ」
「……もう、男子ったら情けないわね!」