複雑・ファジー小説
- Re: 名も無き世界【オリキャラ募集終了】 ( No.796 )
- 日時: 2016/07/01 17:23
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第六十六章 六の道
テレビでは立ち入り禁止区域に関連した報道は行っていなかった。
しかしそれ程立ち入り禁止区域に国民が興味あるのかと言えばそうでも無かった。
人々はいつも通りの毎日を過ごしていた。健やかで変わらない明日が来るのが当然の如く。
あるフリーライターが仕事場でゲームを幽霊と楽しんでいた。
「結局、御法川さん。呪いから解放されていないんですよ」
「そうなの……?狙場」
乾と狙場は今無き青い星と言うゲームで遊んでいる。
狙場のユーザー名は感銘。
乾のユーザー名は海幟。
狙場は御法川の帰りを待っていた。
「しかし毎日が平和だな……」
「まあこの国が周りの国に武器と奴隷を与えているからですけどね」
「……知らぬが仏と言う言葉があるんだよ。都合が良い所だけを見る。現実逃避最高だよ」
「気色悪いわよ」
狙場は警視総監のスクープにより一躍有名になっていた。
ただし現在は隠居生活をしている。理由としては警察や政府関係者に追われているからである。
「全く言われの無い罪で俺を拘束しようとはな。全く大組織は嫌いだぜ」
警察では立ち入り禁止区域の事もあり狙場にばかり構っていられなかった。
狙場の元には牛瀬と言う友人が来ていた。
「狙場。俺、何もアイディアが思いつかないんだよ!何か情報とか無いのか!」
「安藤にお願いすれば良いんじゃないか?」
牛瀬は漫画家。現在『まどろみ』と言う漫画を月刊の方で連載中。
内容は、学校でうたた寝していた少女達が、犯人により奇妙な姿にされ殺されている。
そして、主人公(男)がその殺人事件を目撃。
犯人は動じる事無く、主人公に近づき呟く。
「彼女達は元々壊れていました。私がそれに相応しい姿にしてあげたのです」
犯人は姿を消し、各地で同じ様な事件を起こす。
それを主人公が止めると言ったストーリー。
「それで?犯人の名前が思いつかないと……?」
「いよいよクライマックスなんだけど……。犯人像なんて考えていなかったからさ」
「それじゃ最初の被害者を犯人でしたー。ってやれば?面白そうだし」
「最初の被害者の名前は卯敷 桐子(うずき とうこ)だ。……しかし、いかんせん、白けるよな……。黒幕が殺されていた人間でしたって」
乾は発言する。
「結局正体を明かさない!良いと思うけど!」
牛瀬は反対する。ちなみに、牛瀬は霊感があるので普通に会話出来る。
「無理無理。もう、予告したんだよね。あの犯人の正体はあいつだったって!」
「何でそんな事したんだ?」
「だって、気になるインパクトがあれば沢山の人が読んでくれると思うだろ?」
「安易な考えだな」
牛瀬は自分の娘の写真を眺める。
「この娘の為にさ、俺も頑張んないと駄目なんだよ。後はアシスタントとか編集部の奴らとかにも迷惑かけたくないしな」
「分かった。……情報を提供してやるよ」
ある少年は『まどろみ』を読む。
「壊れている人間が普通の人間のフリをしなくても良いんです。
私が壊れている人間に相応しい姿に変えてあげますよ」