複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集終了】 ( No.800 )
日時: 2016/07/02 18:29
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

「……誰ですか?」

「私の名前は狙場。直、守護霊がいるから俺を殺そうなんて考えない方が良い」



少年は三股の槍を狙場に向ける。



「どうして私の名前を知っているんですか」


「幽霊は何でも知っているらしい。……とだけ伝えておく」


「でも私は何も悪い事をしていませんよ。

私は壊れた人間らしいありのままの姿を出しているに過ぎませんから」


「……リアルとアンリアルの区別もつかない厨二病に何も言う事は無い。警察へ出頭しろ」



「フフフ。残念ですが、もう手遅れです」


「……?」


「壊れた人間と呼ばれる人々は誰だと思います?」


「……知らないな。少なくとも君は壊れているが」


「私は世間的には壊れているでしょう。

しかし壊れ方が違うんです。

私は自分の私欲の為に壊れた訳ではありません。

私は他者の為に壊れたのです」




すると、周りに少年と同じ服を着た者達が大勢来る。




「これは……」



「壊れている人間はそれに相応しい姿でなければいけません。


普通の人間を装い演技をするなんて、疲れますから。


私のように壊れていると自覚すれば良いのです」







少年は何処かへ消える。



「六道!待て!」














一方、牛瀬の娘はマスコミ対策としてずっと家の中にいた。



母親は蒸発しており、行方不明。


牛瀬の娘が頼りにしていたのは、彼氏である虫朱むしあけと言う男性だった。

虫朱は一言で言うならチンピラ。これ以外に何も無い。





「……明美。大丈夫か?」


牛瀬は怯えながら話す。

「大丈夫……」



虫朱はナンバーシックスについて調べていた。


「……なあ?牛瀬の言っていた人物ってこれか?」



「……」

虫朱は牛瀬に漫画を見せる。



「明美と言っている姿とは異なるけど……」


「わ、私。動揺していたから……」


「そ、そうか。そうだよな」





虫朱は牛瀬を抱く。


「お前は悪くない。お前は悪くない……」










虫朱は家から出る。



虫朱は貧民層街の出身で名も無き反乱軍に所属している。
とは言っても兵士では無く離れた仲間内で通信をする係(もしくは伝達係)の為、戦闘は実際には行っていない。








虫朱は呟く。


「……止めろ。俺は本当に彼女を愛しているんだ」



『殴り飛ばす程にか?』


「違う!それはお前だろ!ワーム!」



『……お前は俺で俺はお前だ』


「それって結局全部自分じゃないか」


『だから殴ったのは俺でありお前だ』


「違う!」






虫朱はマルチダブルと言う超能力を無条件に使っていた。


簡単に言えば、多重人格者。


二人の人格が一人の人間で活動していた。


超能力者には、マイナスの能力を遺伝する可能性がある。(例:運が悪い。常に静電気を所持する等)





虫朱のもう一つの人格の名前はワーム。


暴力的で自己中心。虫朱により人格が抑えられている。しかし、ワーム自身は自分が自分である事を止めたくない為、虫朱の身体を支配しようとしていた。




「虫朱!言う事を聞けないなら支配するぞ!」


「止めてくれ!」



虫朱は本来、チンピラでは無く秀才タイプだった。しかし、ワームからの支配を逃れる為取引を行っていた。



内容は、ワームが満足する悪い事をするから支配をしないでくれ。と言うモノだった。


虫朱は悪事を働かせていた。虫朱がワームでワームが虫朱。結果的にワームが悪事を働かせていたと同じと言う事で満足する。(実際、ワームは虫朱と同じ感覚を感じる事が出来る)








「彼女は今、精神的に病んでいるんだ。そんな時に暴力なんて振るえるか!DVで訴えられるぞ!」



「俺に指図するなぁぁぁぁぁぁ!!!」











ワームは前を見る。



すると、少年が虫朱を見る。



「誰も知らない彼女の思いです。

彼女は何故、壊れないのですか?

皆の眼と彼女の眼。


いらっしゃいませ。幻想様。


5の道、他道!」





ワームの身体は力無く倒れていく。




「俺はただ、人間になりたかっただけんあんだ!!!どるしぃて!!たすけえ!!!!」




「明日は明日の風が吹きます。


明日はどんな道が導いてくれるんですかね?




あ〜した、天気にな〜れ」








ワームは壊れた姿で殺される。