複雑・ファジー小説

Re: 名も無き世界【オリキャラ募集中】 ( No.94 )
日時: 2016/01/09 17:28
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

時は少し遡る。

「おい、蓮、涼太。やっぱり何かおかしい。何かが変わっている.....」

涼太は話す。

「愛は偉大か.....素晴らしい。言っておくが、記憶を行うのは、脳だけでは無い。手、足、目、鼻、耳、そして魂さえも記憶している」

俺は涼太に話しかける。

「お、おいどうした?相変わらず、難しい事言ってんな……」

涼太は和人の制服の胸ポケットを触り、何かの写真を取り出す。

涼太はその写真を和人と俺に見せて、話す。

「この写真に写っている4人を見ろ。俺と和人と蓮。そして……この少女こそ、我々が忘れた大切なモノだ」

和人は呟く。

「.....思い出した」

涼太は叫ぶ。

「素晴らしく想い出に溢れた記憶を、こんな似非まみれの記憶を書き換えたんだ。全く、腹が立つよ。さて、叶多の所へ行くぞ」

俺は話す。

「え?俺、全然思い出せないんだけど!」

涼太は話す。

「お前の和人に対しての嫉妬はこんなもんか!?クソッ!どうすれば……」

俺は時空を歪ませる者によって、思い出された。

「いや、問題ない。思い出したよ。だが、和人と違って、超能力によってだが……」

涼太は話す。

「ああ……。迷惑かけたね。それじゃ、オレの正体も分かってしまったんじゃ……」

和人は話す。

「こんな所に居る場合じゃない。行くぞ。叶多の所へ」



俺は、あの二人を嫉妬では無く、応援するべきだった。

応援していれば、未来は変わったのかな。運命が変わったのかな。

涼太は話す。

「未来より、現在だ。叶多を施設から救い出すぞ。どうやって助けるのかはその場で考える」





時は進む。


「叶多!!!」

俺達は、施設の前にいた叶多に向かって叫んだ。

俺と涼太は、叶多には近づかない。ここは、和人が行くべきだろう。

和人は、叶多に向かって走り、叶多の元へ行く。

叶多は話す。

「和人.....?私の事を覚えているの?」

和人は話す。

「勿論だ」

叶多は話す。

「わ、私、言わなきゃいけない事が二つあるの。今までは言えなかったけど.....」

和人は答える。

「ああ、分かった」

叶多は話す。

「まず、私は花霞 叶多じゃない。肉体は花霞 叶多だけど、精神は花霞 叶多ではない。精神は名を忘れた亡霊。.....一年前、私は死んだ花霞 叶多に憑依した。勿論、意図的じゃなくて.....でも、この事を言うタイミングが分からなくて.....今まで騙してごめんね。後、もう1つ。今までは、叶多の元々の記憶からの好意なのか、私の魂の気持ちなのか分からなかったけど......今なら分かるよ。

私は貴方が好きです。私は、似非。だけど、この気持ちと、私が花霞 叶多になってからの一年間のたくさんの思い出は、本物。

おかしいよね.......別人なのに......貴方の事が好きなんて.......

私は、どうすればいいのかな?死んだ方が良いのかな.....?」

和人は答える。

「.....話してくれてありがとう。でも、俺は知っていた。君が叶多じゃない事は。けど、ほっとけなかった。俺は君の事が.....!」




「言わなくて良いよ。本物が悲しむよ?.....さようなら、和人。それから他の皆も」


「さようならって何を言っているんだ.....!これからも一緒にいよう!」



「ダメだよ。私は本来、死んでいる。花霞 叶多も。それに、私が生きていたら、また誰かに追われる。だから.....」


「俺が全力で守る。絶対に守る。何があっても守るから!」


「私は贅沢だね。同じ魂で、人生を2度経験しているから」


彼女は自分の胸に手を当てる。







「私.....本当はね。



君といたい。


君と笑い合いたい。


君と隣にいたい。


君と手を握りたい。


君と一緒に色んなところへ二人で行きたかった。


君とキスがしたい。


君と話したい。


君と食事を沢山したい。


君と遊びたい。




君ともっと過ごしたかった。


おじいちゃんとおばあちゃんになっても。





私の毎日は、君のおかげで輝いていたよ。


こんな幸せ無かった。




私に沢山の幸せをくれてありがとう。





















私は、君の幸せを誰よりも願っているよ」




そして、彼女は和人達が近づく間もなく、自分の心臓を能力で潰した。


彼女はとても笑顔だった。

その笑顔は決して似て非なるモノでは無い。



第九章 名も無き似非 完

次へ続く。

主人公、視点変更。