複雑・ファジー小説
- Re: 天使の翼 ( No.18 )
- 日時: 2015/12/14 22:13
- 名前: 猫のスーパーハルサメ (ID: qESkNdgF)
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ああ、ここは何処だろう。
森だというのは分かるけど西の森?北の森?もしかして遥か彼方にある無音の大森林?わからない...
思えばあの時いきなり大人数の大人が私を囲んだ。
その時点で危機を感じて魔法を使おうとしたのはいいけどまさか、魔法無効化魔法の使い手がいるなんて..魔法障壁を発動する時間もなく、魔法は封じられ別の大人に失神魔法を使われてそのまま気を失った。
それ以降のことは気を失っているんだから覚えてるわけない。
遠くであの大人たちの声が聞こえる..
「最近、女のガキは捕まえれてなかったからな。しかもあの歳で結構な魔法使いだ。これは貴族あたりに売れるぞ」
「そうなった場合、報酬を一番多く受けとるのは俺だろ?だって俺がいなけりゃお前ら魔法でどかーんだ」
「悔しいがそれは認めなきゃな、この中でお前ら他のやつらより金貨を三枚多く取っていいぞ」
「はは!やったぜ。魔法無効化魔法、覚えといてよかったぜ」
「ま、今回で大儲けだな。久しぶりに女でも買うか」
「そうだな。はははは」
周囲に笑い声が響いている。あの男のいうところ私はこれから貴族に売られるらしい、そうなった場合、私はこの先の人生どうなるのだろう。
貴族の奴隷となりこきつかわれるのだろう。もしかしたら貴族に純潔を奪われるのかもしれない...そんなの嫌だ。私は自由に生きたい。
今はあの時からどれ程時間がたったのかは知らないが魔法無効化は切れてるはずだ。
今のうちに炎魔法を使ってあいつらの周りを焼いて時間を稼いで逃げる。これしかない。
「ん?なにやってんだお前」
「魔法無効化を森全体に張ったのさ、あのガキが起きても魔法で逃げないようにな。その分、魔力は凄い量を消費するが、売り物が逃げるよりマシさ」
「おお、すげえなお前、そういう可能性もあったんだな」
そんな...これじゃ逃げられない。あの男、昔は一流冒険家だったの?普通の人さらいがそんな発送を思い付くわけがない...
そんなふうに私が諦めかけたとき、ふいに一人の男の首が宙を舞った
「え?」
金髪の男が動揺する。それと同時にひとつの影がその男を真っ二つに叩き切った
「うわああ、助けて!助けて!」
「大の大人が喚くな!こういうときは冷静にな..ぐぎゃあああ」
リーダーらしき男が悲鳴をあげたと同時にその男の頭が剣で貫かれる。
「ムファン...大丈夫?」
背中に翼の生えた少年が私に優しく声をかける。
私はその少年を知っている。昔は内気だった優しい少年。
「メル...」
「助けにきたよ」
だけど今は私を救うために鬼になったんだ。