複雑・ファジー小説

Re: 天使の翼 ( No.20 )
日時: 2015/12/12 00:38
名前: 猫のスーパーハルサメ ◆15FVZlz4dc (ID: qESkNdgF)

「雷神流奥義!雷斬り!」

「ぐっ!?」

男の放った技を避けようとするが避けきれずに左腕に直撃する。

「良かったな。利き腕でなくて」

本当にその通りだ。もし右腕をやられてたら僕は剣を左腕で持つことになる。おそらく、左での扱いに慣れてない今だと、奴に瞬殺されてしまうだろう。

「炎剣流奥義..炎風!」

咄嗟に炎剣流中級の技を使う。
炎風は威力こそ初級レベルだが範囲は広く、おそらくあの男を包んでいるだろう。

「多少の時間稼ぎにはなるか...!?」

「雷神流究極奥義...豪雨雷鳴!」

突如、男の頭上に雨雲が集まり、炎をかき消す。それと同時に僕のすぐ近くの大木が雷にうたれ、倒れる。

「ほう..ギリギリで当たらなかったか..運がいいなお主」

「僕も上級流派の究極奥義を見れて満足だ。」

男の顔が鋭くなる。

「訂正しろ。これは最上級流派だ。」

「おっと失礼、確かにそんじょそこらの上級流派とは一味も二味も違うな。」

「そうだ。我が雷神流は威力範囲ともに申し分のない出来。まさに最強の流派だ。」

「最強ではないさ。無剣流究極奥義は範囲威力ともにどの流派も上回る。あれこそ最強だと僕は思うよ。」

「ふん、あんな実在するか分からん流派を入れるなど言語道断だ。」

「そうですかね?まあ、戦いの続きをしよう...
炎剣流究極奥義!炎王風!」

森全体を巻き込むほどの大きな竜巻を作り出し、 その中に自らの剣を入れる。
そして、その剣が炎を生み出し竜巻に炎がまとわりつく。こうすることで竜巻は炎をまとった炎風の上位技となる。
これは確か風の属性も少し入ってるらしい。逆に炎風はなぜか入ってないらしいが
確かこの技は威力は他の流派なら上級下位程度だが範囲は他の流派も真似できないほどの広さだ。これで村長は昔、ここにいた魔物をこの技で一掃したらしい。

男の姿が竜巻に巻き込まれ消えていく
「いくらあんなヤバい流派を使う男とはいえさすがにこれでは形も残らないだろう..


「それはどうかね? 」

気付いたら男が僕の背後にいた。

「お主、私のことを男と読んでいるが私は男という名ではない!私はネールスという!」

ネールスか。覚えた。

その時、いつのまにか僕の近くにいた(おそらく物理障壁で身を守りながら来たのだろう)ムファンが驚いた顔で口を開いた
「ネールス!?確かその名はこの国のなかでも一二を争うほどの剣士の名..確か使う流派は雷神流...まさか!?」

「そう!そのまさかだ!私は王国二の剣士として活動してる他、金がないため副業でこんな汚れ仕事をしているのだ!」

いやいや、仕事は選べ、てか王国二って..一番は他にいるのか

「まあ、お主たちはどちらにせよ奴隷になる身!知ったところで何にもなるまい。」

「それはどうかな?あんたに、恨みを持ってる貴族が僕を利用してあんたを今の地位から蹴り落とすかもよ?」

「それもよかろう。剣士の仕事は疲れるのだ。」

「まあ、いいか、この勝負は僕が勝つからな。」

「それはない。なぜならお主はこの技によって気を失い。私に捕らえられるからな。
雷神流究極奥義その弐!雷神降臨!」

ネールスが技を唱えると同時に空から巨大な稲妻が落ちてくる。
その真下にいたのは僕ではなく、ムファンだった。

「危ない!ムファン!」

僕がムファンを押し退け飛び込んだと、同時に稲妻が僕を直撃した