複雑・ファジー小説
- Re: 天使の翼 ( No.38 )
- 日時: 2016/01/11 19:41
- 名前: 猫のスーパーハルサメ ◆15FVZlz4dc (ID: qESkNdgF)
「君...は?」
助けてくれた少女とはいえ、知らぬ人だ。名を聞かねば...と思った瞬間、急に俺に抱きついてきた。
「お兄ちゃん!」
...え?
「へえー、君にはそれくらいの妹がいたのかい」
「い...いませんよ!父さんは物心つく前に死んだし、母さんは種族が種族で、集落に嫌われてたし...」
「ご、ごめん。嫌なことを聞いちゃったな」
「別にいいですよ。それより、ムファンどうした?股を抑えて、もしかして...漏らした?」
つい、悪戯心で聞いてしまう。17にもなって漏らす訳がないもんな
「も、も、漏らしてなんかないわよ..このバカ!」
え?辛かったつもりがマジで漏らしたの...?
「お、お前...」
「う,うるさい!」
ムファンが思わず俺に魔法で作った氷の結晶を投げてくる。
俺が剣で弾きかえす。
「このバカ!」
「ぎゃあっ!」
ムファンが殴りかかり、拳が俺の顔面にクリーンヒットする。
目の前が真っ暗になり、気を失うがその直前、ムファンの股に染みがついてた気がした。
.
.
.
「ん..んん?」
目を覚ますと何やらベッドの上に寝ていた。
「やあ、目覚めたみたいだね」
そこには、カイさんがいた。
「あのー、ちょっと質問したいんですけどー、ここどこですか?」
「ここは冒険者ギルドの宿屋、設備もいいし、ベッドと食事付きの素晴らしい宿屋さ」
「そ、そうなんですか、ムファンとあの子は?」
「ああ、今ギルドの食堂で食事をもってくるところだよ」
とカイさんが説明してるときにドアが開いた。
「おっと、噂をすればなんとやら、来たようだね」
「そのようですね」
「お兄ちゃん!」
「ぶぐっ!?」
ドアが開いた瞬間、少女が俺の腹目掛けて飛び込んできた。
「え!?、ね、ねえ君、俺は君のお兄ちゃんじゃないよ」
「いいや! 絶対お兄ちゃんだよ!だってその剣も顔もお兄ちゃんそっくり!」
「え、ええー、でも俺の父さんは俺が幼い頃に死んじゃったし、母さんもあれだからなー、てか君何歳?」
とりあえず、気になったので聞いてみる。体型と言動から8歳くらいかな
「13」
「え!?」
予想してた年齢と5歳くらい違う。俺が13の時はもう結構な大人だったはず
ていうか7歳くらいでこの子の精神年齢は越えている。
「ほ、ほんと?」
「ほんと!」
あ、本当っぽいなまあいいや、なんでこんなに言動が幼いのかは知らないが、まあ、俺には関係ない。
「でも、君のお兄ちゃんではないよ。俺はメルフィン、君のお兄ちゃんの名前は?」
「私のお兄ちゃんの名前もメルフィン!」
え、もろ被り...母さん、俺に内緒でそんな...
いや!母さんを信じろ!てか、俺が彼女を知らないんだから絶対別人さ!
「とりあえず、君のお兄ちゃんと俺は別人だよ、わかったかい?ええと名前は?」
「ユシャン」
「ユシャン!わかったかい?」
「えー、お兄ちゃんだよ。」
ここまで、言うなら出来るだけ人には見せたくなかったが...これを見せるか...
「君のお兄ちゃんにはこの背中に翼があったのかい?」
マントを外して背中の翼を見せる。
さすがにないだろう。
「あったよ」
やっぱりなかったか...え?あった?
「え!?嘘でしょ...」
「本当だよ。私はなぜか出来なかったけどお兄ちゃんはあったよ。」
「もう、分からない...もういいよ。君のお兄ちゃんで...」
「やったーお兄ちゃんだ!」
もう疲れた...
「あのメル...」
話がいったん終わったところでムファンが話してきた。
「ん?なに?」
「えっと..さっきはごめん..いきなり殴ったりして...」
「こっちも悪いし、別にいいよ。」
お漏らしって言ったのは俺だしな。
「そ、そう。じゃ、じゃあ、あれ、よろしくね」
「あれって?」
そう聞くとムファンが俺に耳打ちをしてきた。
「父さんに漏らしたこと言わないでね...」
「あ、ああ、もちろんだよ」
いや、あの人、娘が漏らしたとしたらなんか変なことやりかねないし
「話は終わったかい?それじゃあ、次のギルドがあるところまで出発しよう。」
「はい」
「あ、よろしくな、ユシャン」
新しいメンバーだし、ついてくるだろうから一応挨拶をする。
「よろしくね、お兄ちゃんにカイさんにお漏らしお姉さん!」
「こら!それやめてって言ったじゃん」
「ぷ、ぷぷ」
ムファンはそう呼ばれてるらしい、笑いをこらえようとするがちょっと声がもれてしまった。
「あ!メル!笑わないでよ!」
「ご、ごめん!ふふふ」
「笑うなって言ったじゃん!」
「うぐっ!?」
また殴られた。
こうやってユシャンがお漏らしお姉さんっていうたびに殴れるのだろうか。
先が思いやられるよ。
はあ...