複雑・ファジー小説

Re: 天使の翼 ( No.49 )
日時: 2016/02/18 22:17
名前: 猫のスーパーハルサメ ◆15FVZlz4dc (ID: qESkNdgF)

私はピート、暗殺者だ。
 幼いときから暗殺者として育てられ、最強の暗殺者となった者だ。
 私の通った道は赤い液体しか残らないと言われる程だ。
 現に私は赤い花弁を何度も何度も咲かせてきた。その影響か私を雇えばターゲットは必ず死ぬと言われるようにまでなった。
 さて、お話はここまでとして私は現左大臣ゴルランゲスに雇われある男を狙っている。
 今まで出てきた情報によると男の名はメルフィン。母は天使族のハーフ... ...
 ゴルランゲスは予言を恐れその者を暗殺しようとしているらしい。
 実に馬鹿馬鹿しいが雇われたんなら嫌でもやらなくてはいけない。
 それにプライドってのもある。メルフィンとやらの息の根を止めてくれよう。
 どうせ、私に殺せない者などいないのだから... ...
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    一方その頃、メルフィン達

 さらに一週間が経過した。
 今まで順調だったせいか、この一週間でやけにモンスターにであうことが多かった。
 全部まとめてあの世に送り込んであげたが
 
「あー!もう疲れる!」
「これくらい我慢してよ。ユシャン、あと少しだから」
「そうだよ、ユシャン君。王都につけば美味しいご飯もあるはずだよ」
「とはいっても、本当に長いわね」
「そうだけどこれでも近道な方だ。我慢しろ」

 とはいったがやっぱり疲れるなあ。なんか休める場所はないのかな?

「ん?あそこに宿がある。今日はここで休むか」

 おお、ちょうどいい時にあった。本当にありがたい

「わかりました。では、行きましょう」
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「すいませーん?宿に泊まりたいのですが」
「はーい、何名様ですか」
 宿に泊まろうとドアを叩くと若い娘が出てきた。十四歳くらいだろうか。

「四人です」
「了解です。では、御上がりください。部屋にご案内いたします」

 俺たちは彼女に着いていき、彼女の立ち止まった部屋を見た。

「これが俺たちの泊まる部屋ですか?」

 部屋の中は貴族が来たときに泊める客室のように光輝いている... ...
 なんで絨毯は赤で所々金色に輝いてるんだ?
 それは置いていてこんな所に泊まると何ゴールドかかるんだ?聞いてみよう。

「ちなみに、値段は?」
「ただですよ。私はあなた方冒険家の皆さんに安心して旅して欲しいと思ってこの宿を建てたんですもの!」

 へぇ... ...でも収入源はどうするんだ?

「では収入源は?」
「狩猟で頑張ってます」

 狩猟か... ...ずいぶんパワフルな女将さんだな
 まあ、こんな部屋に泊まれるんだからそんなのどうでもいいか

「このベッド最高!」

 気づいたらムファンがもう部屋のベッドに寝ていた。

「おい!ムファンずるいぞ!」

 負けてたまるかと俺もベッドに寝転がる。

「いい歳にもなって君たちは... ...」

 カイさんが呆れ顔で喋る。
 でも、ベッドですよ?滅多に眠れないじゃないですか。ここはちゃんとベッドで寝るべきですよ!

「とりあえず、今日はここで休憩しよう。明日の早朝にこの宿を出るよ」
「はーい、わかりました!」

 ムファンがてきとうに返事する。返事はちゃんとしろよな。

「ところでユシャン、なんでそんなに不貞腐れた顔なんだ?ベッドだぞ」
「だってここ怪しいもん」

 怪しい?あの女将さんは優しいし、人を騙すようには見えない。それに騙すためにこんなに金を掛けるわけない。

「怪しいって... ...そんな警戒心高めなくてもいいんだぜ。さあ、明日は早いぞ。早く寝よう」
「むぅー」

 ユシャンは機嫌の悪そうに返事する。
 まったく... ...まあ、ユシャンに構う暇があるならさっさと寝るか。
 こうして、俺たちは深い深い眠りに着いた。
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 寝静まった夜... ...一人短剣を持った者がいた。
 その人物は廃屋の二階に上がっていった。
 押さえきれない喜びを隠して... ...
(こんな低レベルの罠にかかるなど所詮は初級冒険家だな)
 その者は人知れず今から暗殺する男を嘲笑った。
(いよいよだ。いよいよ私の短剣がまた一人殺める... ...いや四人かな?まあいい、人を殺すのに数なんて数える必要はない... ...只殺したという結果があればいい... ...)
 そして彼はその男が眠っている部屋に入った。
 部屋は酷く薄汚れていた。唯一、良いところがあるならやけに豪華なベッドだろう。
 (私の幻影魔術もここまで凄いとはな... ...)
 その者は声を押し殺して笑う。
 そして、ターゲットの男に向かって短剣を突き付ける。

「君に恨みはないけど... ...死んでもらうよ... ...」

 そう小さく呟き、男の喉元に向かって短剣を刺そうとする。
 その刹那、黒い影がその者の短剣を払い落とす。

「だ... ...誰だ!?」
「やっぱり... ...」

 彼女の目の前にはターゲットの仲間である少女ユシャンが立っていた。

「んんー?なんだなんだ?」

 そしてターゲットである男メルフィンも目を覚ました。

「し、しまった...」

 彼女... ...ピートは酷く焦った。
 この状況をどうすればよいのかと... ...