複雑・ファジー小説
- Re: 天使の翼 ( No.54 )
- 日時: 2016/03/05 12:14
- 名前: 猫のスーパーハルサメ ◆15FVZlz4dc (ID: qESkNdgF)
十一話「父の正体」
朝になった。俺たちは昨日兵士に言われた通りに王城の前に立ち、案内の兵を待っていた。
それにしても、寒いな。集落とは大違いだ。
「どれだけ待たせてるのよ、早く来なさいよもう」
「文句をいうなムファン、まだ三分しか経ってないぞ」
「えー!?まだ三分?嘘でしょ?」
「本当だ。暇だから時間を数えていた。ちなみに今は、四分になった」
「どうでもいいわよそんなことあまり変わんないんだし」
確かに三分も四分も変わりないよな、どうでもいいけど
「すいません、待たせましたね」
雑談をしていた時に門が開き兵士がやってきた。
「いえ、三分ほど待っただけです」
「なら、良かったでは門の中にお入りください。案内致します」
兵士に導かれ、門の中に入っていく。
門を入った時にまず目に入ったのは庭で訓練をしている兵士達だ。今は筋肉トレーニングの最中なのだろうか、ぐったり倒れている者がその過酷さを語っている。
城に入ると目の前に巨大な鎧があった。色は白で所々錆びている。恐らく建国の時に作られた物だろう。
その鎧の横に螺旋階段がある。おそらく二階に続くものだろう。
「あ、鎧の横にある螺旋階段を登っていただければ、国王陛下の玉座ですので」
言われた通りに螺旋階段にのぼる。
そして、螺旋階段を登りきるとめのまえに玉座があり玉座には立派な白髭を生やしている威厳たっぷりな男がいた。
年齢にしては老けているがおよそ50代前半というところだろう。
おそらく、いや確実にこの男が国王ゲルスィート六世だろう。
「来たか、冒険家メルフィン一行よ」
国王は静かに言った。
「国王陛下、このたびは私どもをお招きいただきありがとうございます」
なるべく失礼がないように膝をつき頭を下げながら言う。
「うむ、そんな堅苦しいことはせんでもいい、お主は私の... ...いや、今は語る必要はなかろう 。まあよい、頭を上げろ」
「はっ」
王に言われた通りに頭を上げる。
俺達が頭を上げたと同時に王は静かに語り出した。
「冒険家メルフィン、お主の生まれは山脈を超えた小さな集落、父はアイファー、齢29で病死、母はリリア... ...天使族、間違いはないな?」
王が母の秘密を知っていることを知り、俺は驚いた。
なぜ知っている?母が天使族だと知っているのはあの集落の人間とここにいる俺を含めた4人のみ... ...なぜだ?
「驚くのも無理はあるまい。だが、今は言わなければいけないことがある」
「なんでしょうか?」
俺は耳を傾け、王の話を聞く。
「お主の父アイファーはこの国の第二王子... ...いや出奔したから元第二王子というべきかな?まあ、それがおぬしの父の正体だ。そして、このたくさんいる先代の王の息子の中で二人だけだった王妃の子でもある」
「なんだって... ...!?」