複雑・ファジー小説
- Re: 天使の翼 ( No.61 )
- 日時: 2016/03/13 12:50
- 名前: 猫のスーパーハルサメ ◆15FVZlz4dc (ID: qESkNdgF)
- 参照:
地下は薄暗く、ランプで少し辺りが灯されているだけだった。
このどこかにゴルランゲスがいるかもしれない... ...
注意深く見なくては... ...
私が辺りを用心深く見るとどこからともなく矢が飛んできた。
「!?」
私はさらに注意深く周りを見るがどこにも矢を放った者らしき人影はない。
気のせいか... ...?いや、違う... ...敵は確実にこの地下にいる。探し出せ... ...
すると突然、右側から大量の矢が飛んできた。
前方に飛び込むことで間一髪で避けたが今度は前方から矢が一本だけ飛んでくる。
避けようとしたが先ほど飛び込んだため、体制を直すのに時間が掛かり、避けきれずに踵に矢を受けてしまう。
「う... ...うああああっ!」
痛みに耐えきれずに思わず叫んでしまう。そして、その叫び声に満足したかのように私の真上から笑い声が聞こえる。
「あはははははは!やったわね!あんたはもうろくに歩けないわ!」
私の真上から青色の派手なドレスを着た女が現れる。
女は右手に弓を左手には矢の束を持っていた。
「誰よ... ...あなたは... ...」
「あら、名乗ってなかったかしら?私はフリートル、神の子供たちのNo.2よ」
また神の子供たち... ...やっぱりゴルランゲスと神の子供たちは繋がっているんだね... ...
「まあ、あなたは今は足をやられ、動けない。とどめを差す絶好の機会ね!さあ、死になさい!」
フリートルが矢を放ち私に襲いかかる。だが... ...
「反撃〈カウンターアタック〉」
矢が私の前で停止し、フリートルの方に跳ね返っていく。
「な!?なんですって!?」
フリートルは驚きで体を動かせずに矢を脇腹に喰らってしまう。
腹に刺さった矢を手で引っこ抜きこちらを睨んでくる。どうやら傷は浅いようだ。
「よくも... ...魔法使いか!もっと偵察するんだった... ...まあ、いい、お前はもう動けない!私の勝ちは確定よ!」
勝ち誇ったように言い放ちフリートルの姿が透明になるように消えていく... ...いや、透明になったんだろう。奴は透明になる魔法か流派を使う戦闘スタイルのようだ。
それなら奴の潜伏場所を見つけそこを魔法で叩けばいい。簡単なんだからすぐに倒せるはず。
後方からおよそ20本の矢が飛んでくるが反撃〈カウンターアタック〉で跳ね返す、しかし、反撃はおよそ10本程度のものしか弾けないので残りの10本がこちらに飛んでくる。
なら、今度は炎魔法 炎の渦〈ヴォーテックスオフフレイムス〉で残りの矢を焼ききる。
これを繰り返すが、奴には矢を生成する魔法でも使ってるのか無限に矢が飛んでくる。
こっちもさっきと同じ方法で矢を殲滅しているのだが、流石に魔力が減ってきて、限界だ。
駄目... ...魔力が... ...
だが、魔力が一向に消える気配がない。むしろ、増えている気がする。
魔力が回復している?... ...
無意識の内に魔力回復を発動していたとでも言うの!?
分からない... ...だけどこれはチャンスだ。
魔力回復は習得法が未だに不明な魔法... ...つまり、魔力回復は無意識の内に習得する魔法... ...それを習得したなら今は敵を倒せる!
まずは奴の潜伏場所を特定しろ... ...
右に10本、正面に5本、上から7本... ...このルートを辿れば... ...次は後方から10本... ...つまり、矢が飛んでくる方向には一定の決まりがある... ...ならば!
私は魔力を手に溜め、火の玉を作り出した。
「業火〈ヘルファイア〉!」
右に巨大な火の玉を投げる。
すると、右から甲高い悲鳴が鳴り響く。
「アアアアアアアアアアアアッ!?火が私を焼くううううあああああ!」
透明になっているのでよく分からないがフリートルは今、焼かれているようだ。
「いずれ、炎があなたを黒こげにするわ、でも透明になっているからあなたの生死なんて分からないままかもね... ...ま!私には関係ないけど... ...」
その後、私はフリートルが焼かれているだろう場所に水流〈ウォーターフロウ〉を放ち、火を消す。
フリートルは相変わらず透明なので、生きているのか死んでいるのかは分からないが、あの火力だ。生きていても体を動かすことは出来ないだろう。
「私の勝ちよ。フリートル... ..むぐぅ!?」
気を抜いていた瞬間、背後から口を抑えられる。体は敵のもう片方の腕で抑えられ、逃げることができない
油断していた... ...後ろに敵がいるなんて... ...
敵は「冒険者よ、油断は禁物だぞ」とにまぁと笑みを浮かべながら低い声で言った。
こいつは... ...
不意に体が正面になり男の顔が見えた。
「ゴルランゲス... ...?」
そう、呟いた後、私は気を失った。