複雑・ファジー小説

Re: 天使の翼 ( No.63 )
日時: 2016/03/13 18:21
名前: 猫のスーパーハルサメ ◆15FVZlz4dc (ID: qESkNdgF)
参照:

下へ降りるとカイさんが倒れていた。
 最初はカイさんが負けたのかと驚いたが、すぐ近くに両手のない死体が転がっていたので、カイさんの勝利だと認識した。
 俺はカイさんに歩み寄り、意識はあるかどうか確認した。
 そうするとカイさんが目覚めた。

 「カイさん!大丈夫ですか!?」
 「んんっ... ...メルフィン君か、ああ、なんとかね... ...」
 「この死体は?」
 「ああ、それは神の子供たちのリーダーベクトルさ。なんとか倒せたよ」

 神の子供たちのリーダー... ...結構な大物だな... ...だが、リーダーが死んだんだ。神の子供たちはもう機能しないだろう。
 と、考えていると周りにムファンがいないことを疑問に思った。

 「そう言えばムファンは?」
 「ムファン君なら、さきほど、階段の隣にあった地下階段に降りて行ったよ」

 そうか、地下に行ったのか... ...

 「じゃあ、俺達も地下に行きましょう」
 「そうだね」

 そして、俺とカイさんは地下へと向かった。
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 地下はなにやら焦げ臭かった。それもそのはず、地下には所々、 魔法を使ったと思われる跡がある。
 おそらくムファンが業火を使ったのだろう。

 「しかし、ムファンがいませんね」
 「ああ、そのようだね。どうするメルフィン君?」
 「そりゃ、ひたすら探すしかないですよ」

 そうして、俺たちは地下を探索することにした。
 地下は暗いが、一本道だったのですぐに奥にたどり着けた。
 そこにはドアがあり、いかにもな怪しさを醸し出していた。

 「じゃあ... ...開きますよ」
 「ああ、任せた」

 恐る恐る、俺がドアを開けると目の前に粉が発生し、目に入ってしまった。

 「な!?」
 「さあ、死んでもらおう!」

 低い声が鳴り響いた。おそらく、ゴルランゲスだろう。
 まずい、どこにいるのか分からない... ...

 「氷の刃〈ラム ド グラース〉!」
 「な!?ぐふうう!」

 カイさんの声が聞こえたかと思うと、ゴルランゲスの叫び声が響いた。
 俺が目をこすり、目に入った粉を全て出し、目を開いた時にはゴルランゲスはいなく、目の前に階段があるのを見つけた。

 「すまない、ゴルランゲスには逃げられた。しかし、頭の良い男だ。油断してる隙に逃げられてしまった」
 「このしたに、母さんとムファンが?」
 「おそらく、ね。あの状況だと、ムファン君も捕まったと考えた方がいいだろう」
 
 カイさんはあっさりとムファンが捕まった可能性を言うが、その声には焦りが混じっていた。
 ムファンが捕まったかもしれない... ...そう考えると呼吸が荒くなる。
 ゴルランゲスは狡猾な男だ。ムファンを盾になにをするか分からない... ...
 焦りと緊張を持ちながら、階段を降りた。
 階段の下は更に一本道が続いていた。
 しかし、そんなことどうでもよくなるくらい、憎い男が女を二人横に寝かせながら薄汚く笑いながら言った。
 
 「メルフィン!貴様が近づいて見ろ!この二人のどちらかを殺す!さあ、選べ!貴様が殺して欲しいのは母か!友か!」
 「こいつ... ...なんてことを!」

 カイさんが信じられないと言うように喋る。

 「てめぇ... ...ぶっ殺してやる!」

 憎しみを込めて、俺は叫んだ。