複雑・ファジー小説
- Re: 天使の翼 ( No.65 )
- 日時: 2016/03/14 18:28
- 名前: 猫のスーパーハルサメ ◆15FVZlz4dc (ID: qESkNdgF)
- 参照:
はぁはぁ... ...右手を失った... ...くっ... ...光速があんなところにいるとは!
だが、ここに立てこもれば大丈夫だ。
私の土の生成魔法によって作った壁は頑丈だ。いくら、凄腕の魔法使いとはいえ、これを破壊できる魔法はあるまい... ...
... ...いや、あの魔法使いではなく剣士が破壊するのか?
あそこで生きてたということはハルキュエールを殺したのだろう... ...
ハルキュエールは確実に王都では最強の剣士... ...それに勝ったということは、とてつもない破壊力の流派を使っているのだろうか?
馬鹿な... ...だとしても... ...この壁は破れまい... ...
そう安心しているのも束の間、壁の向こうから何やら声が聞こえてくる。
「なによ!この壁!?かなり硬いわ。私の魔法でも破れるかどうか... ...」
「なら俺に任せろ!... ...はぁ!」
小僧の放ったであろう技によって壁にひびが入る。
そうか... ...安心なんかしちゃダメだな... ...
「どんなことをして逃げようとしても無駄なのか... ...」
おそらく、後少しでこの壁は破壊されるだろう。
下手したら、その反動で崩れた壁の破片が心臓なんかに刺さるもしくは倒れた壁の下敷きになる... ...
更に奥に逃げるか... ...
いや、逃げても無駄だな... ...奴らは地の果てまでも追ってくるだろうな... ...それほど、私が憎いのだろう... ...
だが、私は逃げ、いずれ左大臣の地位を取りも... ...そうだ。
なんで私はこんなくだらないことをしているんだ。
私はアイファー様に仕えると心に決めていた。
アイファー様があの夜、出奔すると私に伝えた夜にその夢は崩れた。
あそこで私は死ぬべきだった。
なのに、なんで生きようとして、あの憎んでいた上級貴族と同じ遊びをしているんだ... ...
ああ... ...
くだらない、実にくだらない... ...
申し訳ありません... ...アイファー様
今、あなたの元へと... ...
向かいます。
.
.
.
地下の奥へ進むとそこには巨大な壁があった。
おそらく、ゴルランゲスが作ったのだろう。
あいつは只の貴族ではなく、魔法使いとしても人並み以上だったのか... ...
「メル!私に任せて、暴風〈タンペット〉」
先ほどゴルランゲスが使っていた風魔法を使う。
真似をしたのか?
いや、その時ムファンは気絶していたからたまたま同じ魔法を使っただけだろう。
ムファンの使った魔法は激しく吹き、周りを荒らすも壁にはひび一つつかない。
「なによ!この壁!?かなり硬いわ。私の魔法でも破れるかどうか... ...」
ムファンが急に弱気になる。
ムファンの魔法でも破れないということはかなり硬いのだろう。
だが、無剣流の技を使えば流石に壊れるだろう。
「なら俺に任せろ!... ...はぁ!」
俺は無心剣を壁に向かって放つが、壁は少しひびが入った程度だ。
「っち... ...無心剣でも無駄か... ...なら、あれを使うしかない... ...」
こういう壁程度に無心王剣は使いたくないんだけどね。
まあ、仕方無い。奴を捕まえるためだ。
「すぅ... ...はぁ!」
俺は無心王剣を放つ。
紫色の波動は壁に激突し、壁は木っ端みじんに砕け散る。
「よし!あの向こうにゴルランゲスが!」
「いや... ...待って!あそこを見て!」
ムファンが指差した先には何やら人が倒れているようだった。
いや、倒れているんじゃない... ...死んでいる... ...
そして、それはゴルランゲスだった。
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ゴルランゲスは死んだ。
あの時、短剣を喉に刺し、自殺した。
こちらとしてはゴルランゲスが死んだから結果オーライなのだがなんとも言えない気分になる。
ゲルスィート六世はユシャンが素早く医師の下へ連れて行ったこともあり、一命は取り留めた。
そのことにゲルスィート六世は感謝しており、逆臣ゴルランゲスを成敗し、自分を助けてくれたことの恩返しとして、俺たちをパーティーに誘うらしい。
パーティーの内容は分からないが楽しみだ。
母さんは体に傷の後は見られなかった。
それと、囚われていた時の記憶がないらしいのでおそらく、ずっと昏睡状態だったのだろう。
まあ、無事でなによりだ。
そして、明日はパーティーの日だ。
王族がいつも何を食べているのか楽しみだ。