複雑・ファジー小説
- Re: 空へ向かう鳥と黄昏の世界【旧名 天使の翼】 ( No.76 )
- 日時: 2016/03/28 21:23
- 名前: 猫のスーパーハルサメ ◆15FVZlz4dc (ID: qESkNdgF)
- 参照:
数百年前... ...
ある男がいた。
男はかつて、最強の剣士として名を馳せていたが、ある事件によって剣を捨てた。
天使族侵攻によって... ...
天使族の攻撃は凄まじく、彼の故郷は崩壊寸前まで陥った。
彼もまた、天使族に敵わず大切な剣を失う。
もう勝てないと悟った彼は北に家族と共に逃げようとする。しかし、北の国は入国を拒否し、結局家族は天使族の弓矢によって死に、男もまた、深手を負い洞窟に逃げる、この世に絶望した彼はせめて後世に役に立つようにと天使族侵攻について手帳を記す。
書き終わったあと、自分にはもう何もないと後悔し、死のうとする。
しかし、神は彼を生かした。
洞窟の奥にあった書物を見つけ、それを声に出して読んでしまった。
その文字が魔法であり、不老不死をもたらすものだと気づいた時にはもう、数々の魔法を習得していた。
剣を捨てた男は魔法を取り、天使族侵攻によって失われた巨大魔法すら習得した。
そして、魔力を無限に使用するため魔力を無限に増やす代わりに一生外せなくなる呪われし仮面を自ら被る。
ただひたすら、天使族を殲滅させるために... ...
そして、数百年が経過した。
男は... ...
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「さあ、君の斧で僕を攻撃してみろ」
ファインは両手を広げ、早く攻撃してこいと言わんばかりの格好だ。
ユシャンはその挑発に乗り、ファインの横に向かって斧を振り下ろす。
しかし、物理結界に阻まれ、斧はファインの目の前で止まる。
「どうした? その程度かい? 所詮はちょっと力が強いだけの子供、僕には敵わないさ!」
ファインはそうユシャンを鼻で笑い、魔法を唱える
「光剣<リヒトシュヴェーアト>」
光でできた剣がユシャンの右手首を貫通し、ユシャンは悲鳴を上げ、斧を手から離し、そのまま気を失う。
斧が落ちた衝撃で床には大きな亀裂が入り、人が落ちそうなほどに大きく割れる。
「なーんだ、その程度か、これじゃあ、僕より弱い昔の人間の結界も破れないよ」
ユシャンの攻撃を鼻で笑うファインに対して、俺は剣を向けていた。
「その剣で何をするつもりだい? 僕を殺そうってんなら無理な話だ。無心王剣ですら僕の結界は破壊できない。無駄なことさ」
「無駄じゃないさ...喰らえ!無心王剣!」
俺は一心不乱に無心王剣を放って放って放ちまくる。
ファインは横を向いたまま右手の結界で攻撃を受け止めていたが徐々に押されていく。
「どうだ!だんだん押されていっているだろう!」
その発言にファインは何の効果があるのだと言わんばかりに笑い、そのまま無言を貫く。
「余裕の表情だけど、後ろを見な!」
「ん?」
ファインは何があるのかと後ろを見るがそこには先ほどユシャンの斧によって出来た大きな亀裂があった。
「な!?」
「気づくの遅いぞ! さあ!落っこちやがれ!」
とどめの一発と無心王剣を放ち、ファインは結界ごと亀裂の中に落ちていく。
「はぁはぁ... ...やった... ...」
さすがに無心王剣を連続で使うと体力が持たずにその場に倒れる。
それに続くようにドアが開き、二人の男女が入ってくる。
おそらくムファンとカイさんだろう。
「ごめん!遅れた!って何これ!?ユシャとメルは大丈夫なの!?」
「ああ、俺は大丈夫だ... ...ユシャンは気絶はしてるがおそらく軽傷だ。介抱すればすぐ起きるだろう」
そう言うとカイさんは俺に近づき、俺を手で支え、こう質問する。
「一体何があった!?この大きなひびはなんだ!?」
「それについては後ほど詳し──「危なかったよ、君の作戦はなかなかだメルフィン君、ここはマズいと考えたよ」
ファインが亀裂をよじ登ってきた。