複雑・ファジー小説
- Re: 空へ向かう鳥と黄昏の世界【旧名 天使の翼】 ( No.77 )
- 日時: 2016/03/31 20:54
- 名前: 猫のスーパーハルサメ ◆15FVZlz4dc (ID: qESkNdgF)
- 参照:
十六話「地獄からのシシャ」
ファインはしぶとい。
こいつは亀裂に落ちたというのに何故かは知らないが這い上がってきた。
生命力はゴキブリなのか?
「落ちたときはさすがに駄目かと思ったよ。 だって僕は不老不死の肉体ではあるが不死身の肉体ではない。つまり、死なないというだけで普通に殺されるんだ。だから、物理結界を覚えた。なのにそれと関係なしに、あんな所に落ちたら死ぬに決まっている。危なかったよ。本当にね」
ファインはいかにも楽しそうに語る。
っち... ...こいつはどういう魔法を使って... ...
「さあ、お話は終わり、君にさっき落とされたせいでちょっと怪我をしてね、僕は退散するよ。代わりに彼らに相手してもらうといい」
そういい、ファインは玄関の方に行き、ドアを開く。
外は既に夜だったようでドアの向こうは真っ暗だった。
そして、その闇から何かが一つ動いた。
否、一つではない「無数」の何かが動いていた。
「紹介しよう! この集落の墓場から掘り起こした死体を全部アンデッド化させたことで誕生したゾンビ達さ!」
ファインの紹介によってゾンビ達は低く呻き声をあげ、ドアの方からゆっくりとこちらに歩いてくる。
「っち... ...」
アンデッドか、厄介だ... ...
もう死んでるせいか、斬っても斬ってもしぶとく襲いかかると聞く。
腐った肉体からは悪臭を放ち、見た目は気持ち悪く、なるべく見たくない。
そんなアンデッドが俺に向かってやってくる。
正直、気絶しそうになる。
だが、ここで戦わなければ死ぬ。
あっちはすでに死んでるから問題ないだろう。
「それじゃ、僕はおさらばさ。 じゃあね!」
ファインは軽い足取りでドアを出、そのまま夜の暗闇に走って行く。
「逃がすか!妖精召喚〈フェアリーサモンズ〉」
カイさんの手のひらから虫のような羽を生やした人に似た生物が現れ、ファインを追う。
「カイさん、あれは?」
「あれは、妖精さ。古代から森の奥にいると呼ばれている小さな生物。あれは召喚したものの叶えたいことを叶えようとする性質を持つ。だから、私は今、ファインを追跡しろと妖精に命令し、妖精はおそらく追跡を終えたあと、私たちの所に来て、道案内をしてくれるだろう」
「はぁ」
よく分からないがつまりはファインを追うってことかそれはありがたい。
そして、今俺はファインを追うのではなく、このアンデッドを片付けることだからさっさと片付けようか。
「う゛あ゛あ゛」
アンデッド達は呻き声を上げながらぞろぞろと家に侵入してくる。
これはやるしかないか。
「はぁ!」
瞬殺剣を放ち、およそ十体のアンデッドの首をはねる。
死にはしなくても混乱して、アンデッドに襲いかかるだろう。
その予想が当たり、アンデッドは近くにいたまだ首の繋がっているアンデッドに襲いかかる。
首の繋がっているアンデッドは首を斬られたアンデッドを喰おうとするが、首の斬られたアンデッドは対抗し、共に倒れる。
「よし!作戦成功だ!」
そうして、再び入ってくるアンデッドをムファンの火の魔法で焼き尽くし、家に入れないようにする。
完璧だ。
これで勝利は確実。
さあ、ファインの所へ向かわなければ
「ぎぃぁぁぁぁ... ...」
そう安心していたのも束の間
他のアンデッドとは明らかに格が違う者が入ってきた。