複雑・ファジー小説
- Re: 空へ向かう鳥と黄昏の世界 ( No.81 )
- 日時: 2016/04/03 14:56
- 名前: 猫のスーパーハルサメ ◆15FVZlz4dc (ID: qESkNdgF)
- 参照:
十八話「北へ」
もう、充分泣いたし、涙も枯れた。
俺がやるべきことはファインの息の根を止めることだ。
さあ、東へ進め。
「よし!じゃあ、今から向か——「待って、今から用事が」
そう、俺の言葉を遮ったのはムファンだ。
用事?なんだろう。
はっきり言うと今が一番、重要な気がするが。
「用事って何?」
そう聞くとムファンは困ったように俯き、モジモジしながら恥ずかしそうに言う。
「お父さんとお母さんが過保護で、もう旅に出ちゃダメっていうから説得に行かないと... ...」
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ムファンの父さんこと村長は昔、ムファンが木から落ちて大怪我をしたことからそれから過保護になったらしい。
はっきり言うと家庭の問題なので家庭内で解決しろと言いたいのだが、こっちも優秀な魔法使いを失ったら拙いのでついていくことになった。
ちなみにカイさんとユシャンには先に言っていろと言った。
話が終わった後に一度、あっちがこたらに迎えに来てくれることになってるからな。
気長にムファンの親と議論しよう。
出来れば平和に解決したいがな。
そう思いながら歩いているとすぐにムファンの家に到着した。
「相変わらず、でかいなお前の家」
「そうかしら?」
すっとぼけてるが内心ではそう言われて嬉しくては仕方ないんだろ。
俺の目はごまかせないぞ。
家の玄関を開けると、ムファンの母さんがやってきた。
やっぱり髪の色以外はムファンに似てるな。
てか、普通は娘は父に似るのになんでムファンは母に似たんだ。
まあ、どうでもいいが
「じゃあ、メル、玄関で待ってて。話をつけてくるから」
そうムファンは言い母親の背を押しながら奥へ入っていく。
言われた通りに玄関で待っているのだが、はっきり言うと暇だ。
外で素振りでもしてようかなと思っていた瞬間、奥の方に怒鳴り声が聞こえた。
あれは村長の声だろうかそれに続きムファンも言いかえすように怒鳴り声を上げる。
近所迷惑だ。
やめて欲しい。
何を話しているのか気になるので耳を傾けてみるとどうやら、もう結婚しなきゃ行けない時期なのに旅なんかするなと村長にいわれてムファンが別に旅を終わらせてからでも遅くはないと反論しているみたいだ。
いや、旅をする期間が十年とかだったらどうすんだよ。
俺が貰ってあげてもいいけどね。
まぁ、あいつは俺のことなんか目にもとめないんだろうな
「はぁ〜」
そうため息をつくとムファンがこちらに向かって走ってくる。
「メル!行くよ!」
「え!?どういう。こ... ...裾をつかむな!せめて走らせてくれ!」
俺が裾を離してくれと言っているのにムファンは離さずにそのまま走る。
しばらくすると村長が出てきて大声で「ムファン!せめて無事に帰ってきてくれ!メルフィン君、ムファンを頼むぞ!」と言い、その場に膝をついていた。
ムファンは俺に顔を見せてくれないが、おそらく、顔は真っ赤だろうな
しばらく走るとカイさんとユシャンの姿が見えた。
「おーい、メルフィン君、妖精の後をついて、ファインの行き先が分かったぞ!」
「はい!今そちらに行きます!」
なんやかんやあってまた、旅にでるみたいだ。