複雑・ファジー小説

Re: 空へ向かう鳥と黄昏の世界 ( No.83 )
日時: 2016/04/05 01:47
名前: 猫のスーパーハルサメ ◆15FVZlz4dc (ID: qESkNdgF)
参照:

 いや、待て、ドラゴンってのはいつもお伽話の終盤に出てくるやつだろ!?
 え、これ終盤なの... ...
 まさか、ここで終わり!?
 いや、待て、二年前の道中でドラゴンと対峙してムファンの魔法で一撃だったじゃないか。
 あれは子竜だったけど!

 「メルフィン君、あの鱗は魔法を通さない。剣は通すが頑丈であまり傷がつかないドラゴンと会うなんて不幸だ... ...」

 本当に不幸だ。
 鱗のついていない腹は四つん這いになってて狙うのは無理だ。 
 いや、やろうと思えばやれるが、口から火を噴かれ消し炭になるかもしれない。 
 さて、どうしたものか。
 まず思いついたのは俺が遠くから無心王剣を放ち、ドラゴンの鱗を割る。そのあと、表れた皮膚をムファンの魔法で攻撃という作戦だ。
 だが、これだと無心王剣の威力が弱まり中途半端なところにぶつかって鱗を破壊しきれず、無駄に怒らせるかもしれない。
 却下。
 次に思いついたのは、危険を承知でドラゴンの腹の下へ行き、瞬殺剣を放つこと、だが、これは危険すぎる。
 却下。
 そして、最後に思いついたのが俺がドラゴンを引きつけ、奴が火を噴く。
 その時にムファンが水の壁を使い、俺をガード。
 注意は俺の方を向いているから奴は気づかない。
 その間にカイさんが光速でドラゴンの腹の下に行き、光速剣を放つ。
これしかない。やろう。

 「みんな、聞いてくれ、俺が奴の注意を惹くからカイさんはそのうちに光速でドラゴンの腹の下へ、ムファンは水の壁で俺を守ってくれ!いいな!」
 「ああ、分かった。私に任せてくれ」
 「オッケーよ!、ドラゴンの腹から肉で出して食料にしましょう!」
 「私は?」

 あ、ユシャン忘れてた。

 「ユシャンはムファンと一緒に頼む」
 「はーい」
  
 気を取り直して、行くか!
 
 まず、俺はドラゴンの気を惹くためにみんなから離れ、ドラゴンに接近する。
 ドラゴンはまだ様子見といった感じだが、いつ動いても不思議じゃない。
 早めに決着を着ける。
 そう決めた俺はドラゴンに対し、無心剣を放つ。
 ドラゴンの鱗に当たるが少し割れるだけで、あまりダメージがいってない。
 ドラゴンはさきほどの攻撃で俺に注意が向いたようで、俺に向かって火を噴こうとする。
 
 「ムファン!援護!」
 「うん!、水の壁〈シチナーヴァダー〉」

 俺の目の前に水でできた壁が発生し、ドラゴンの火と俺の間の障壁となる。
 ドラゴンの火は水の壁に当たり、蒸発する。

 「よし!カイさん!今だ!」
 「ああ、光速!」
  
 カイさんは光速を発動させ、一瞬でドラゴンの腹の下に潜り込む。

 「トドメだ。光速剣!」

 そう言い放ち、カイさんはドラゴンの腹を斬る。
 ドラゴンの腹からは血や腸がどくどくと流れ落ち、ドラゴンは倒れ落ちる。

 「やったな」

 少なくとも、この作戦はカイさんが光速を使えたから成功できた。
 光速を使える人間がいなければ一人や二人は犠牲になっていたかもしれない... ...
 そう考えると、少しばかり鳥肌が立つ。
 何はともあれ、ドラゴンは無事に倒すことが出来た。

 「私何もしてないよー」

 あ... ...ごめん、ユシャン
.
.
.
 それから洞窟を探索し、なんとか出口の光を見つけた。
 
 「あそこが出口かしら?、ねえ、行ってみましょう!」

 ムファンは嬉しそうに走り、俺たちはそれに続く形で洞窟をでる。
 すると、爽やかなそよ風が俺たちの耳を撫でる。
 そして、俺の目には一面の緑が写し出されていた。
 
 「美しい草原!凄い!」

 ムファンは歓喜のあまり、飛び跳ねいる。
 
 「ここはヤマテリス草原だね。コルレから南方に位置する草原、ならば北にコルレ天使国があるということだ。さあ、北を目指そう」

 北にコルレか... ...どういう国なんだろうか。
 天使族が七割だっけか?
 そこになら、親近感が湧くかもしれない。 
 まあ、今は翼がないんだがね。
 よし、北へ向かって歩こう。
 そして、俺たちはコルレに向かって一歩踏み出した。

五章『完』

おまけ
色々あって紹介するのが遅れましたが、のれりさんにユシャンの絵を描いてもらいました!
のれりさんに感謝です!