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複雑・ファジー小説
- 無意義な罰 ( No.2 )
- 日時: 2015/12/18 19:04
- 名前: 自由帳 (ID: kAWEuRKf)
朝目覚めて、最初に彼はまた溜息をついて時計を見る。
またというのは昨日も一昨日も、その次も、そんな調子に続いていると言うことだ。
時刻は午前六時、現在高校二年生である彼は部活動等には所属していない事に加え高校から家が近く、自転車でおおよそ十分程で着いてしまう。つまり、彼の脳がこの時間に覚醒するということは何らかのミスなのだ。
だが彼はそのような事で溜息を吐くほど、幼稚ではない。
この彼の溜息は、例えるならば赤子が産声を上げるような、そんな存在証明のような物なのだ。
それこそ言い訳がま強くなってしまうのだが、彼にとってはそれが当たり前になっている。それはおそらく産まれてしばらくした、明確な意思を持って以来ずっと、当たり前になっている。
彼は人類の歴史に逆らうかのように産まれてきた。
ホモサピエンスの歴史を巻き戻るように誕生した。
人の過ちを過ちと認めさせるために産まれてきたかのような。
天性的に『夜行性』のホモサピエンスなのだ。
生活習慣で夜行性のような体質になる人も居るのだろう。だが彼はそのような事にはなっていない。
生まれつき視力が極端に悪く、聴力が極端にいいのだ。
それはつまり、周りの音がより一層大きく聞こえるという事であり、本来保有すべきでは無い能力、障害となってしまっている。
だからこそ彼____俺は、今また溜息吐いた。
また始まる、憂鬱な昼間に対しての吐き気を、その溜息に込めて。
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