複雑・ファジー小説

SiKi-2- ( No.4 )
日時: 2015/12/19 10:20
名前: 自由帳 (ID: kAWEuRKf)

一つの部隊を制圧した我々は、1人の青年と対談を行っていた。
それは機密裏に行われ、この事実知っているのは革命軍の中でも上層部の僅かな人間だけだ。


「オッサン達は、どうして戦おうとするんだ」

戦争の真っ只中の、その戦争というのは革命軍と政府軍の内戦なのだが、私が今対面しているのは政府軍の一部隊の頭を務めているという青年だ。
私は革命軍のリーダー。我々は敵同士という訳だ。
青年は腕を組み、我々に警戒の意を示していた。当たり前の事だ。

「私とて、敵に情報をやるつもりはないんだがな、そういう君たちは何のために戦うのかね」

敵対勢力の、形式は違えど一つの勢力をまとめる権力者の対談の場。
それは少し間違えれば命が飛ぶ、という雰囲気ではなかった。

「先に語れ、と」
「何もそういうつもりではないよ。そうだな……敵であり若者である君の意見を知りたいだけさ、こんなジジイの意見に毒される前にな」
「俺はただ、そう命令されてるだけだ」

長年争いごとに関わり続けた私には分かっていた、彼が発言が建前である事を。
彼はどうやら気づかれていないと考えていたようだが、ここはその空気に流されるべきだと年の功が答えを出した。

が、私は彼の真髄を探ろうと言葉を選んだ。

「命令ねぇ、それは愛する王様からの命令かい」
「……挑発のつもりか、ナラヌ・フール」

彼は私の名前を呼び、私はそれに返すように「そんなつもりは無いよ、ハンダトルト・マーゼフ君」と。

「ただ私は、君が何を重んじてこの戦場に居るのか……つまりは本音を聞きたくてね」

口角を少し上げ、瞳を覗いて問う。
彼は失笑し、私の事を睨んで答える。

「オッサン、ナラヌ・フールは噂通りの人間だな、人の心を見透かし何事にも躊躇がない……流石は民の英雄と言ったものか。
オッサンみたいな人間は好きだ、教えてやる。俺の目的、そんなものは無いんだよ」

「目的が無い…それは殺戮を楽しんでいるという意味かね?」
「無論違うな。俺はただ戦わねばならない理由があるだけだ」

「それはそうだろう。私だって無意味に殺戮者に成っているわけでは無い、私は王政のエゴイズムで動く国を変えたいから戦っている」

「俺は、いや政府軍の兵士は王政に人質を取られ戦っている」

彼は涼しい顔で、なんの違和感もなくそう口に出して組んでいた手を組み替えた。
その事実を聞いても、私は驚きはしない。
それを変えようとしているのが我々反乱軍なのだから、それは当然の事だ。

むしろ彼の思考は私のものと似ていたからこそ、私は彼に死期を与えるべきだとすら感じた。

「なら何故私の元に来ない?」
「人が皆、オッサンみたいに強いわけじゃない。俺は逃げ出せもせず戦う方が向いてんだ」

「……ハンダトルト・マーゼフ君。君はジャパンという国を知っているか?」