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複雑・ファジー小説
- 無意義な罰 P3 ( No.6 )
- 日時: 2015/12/19 23:12
- 名前: 自由帳 (ID: kAWEuRKf)
欠点があるとすれば、視力と適応力だ。
俺は夜にしか生きられない種族の、かつて悠久の夜が存在した時代の遺伝子を保有している。だから今の言葉で表すと「夜行性」が丁度良かった。
だが、実際「夜行性」ではなく「夜行専」の構造なのだ。
俺の遺伝子は太陽の光で大きく劣化する。
その劣化速度は通常のホモサピエンスのおおよそ三倍。つまり俺の肉体と脳は周りの人間よりも三倍速で動いている。
脳に関してはコンピューターにこそ負けるが、少し過去のコンピューターならば同等のスペックを保有している。
そこから分かる、分かってしまう一つの事実。
それは、俺はあと10年もしないうちに身体が朽ち果てて死ぬ。
通常のホモサピエンス以上の老化はしない。
外見は何も変わらず、内部が蝕まれて朽ち果てる。
本来夜に生きていれば、おそらくは通常のホモサピエンスよりも数十年長く生きられると学者は言っていた。
だが俺____彼は、孤独よりも死を選んだ。
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