複雑・ファジー小説

Re: 非日常の日常 ( No.12 )
日時: 2016/01/18 19:18
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

「行きましたか。純粋ですねあの方々は」
 私はため息をつく。
「ほんとだな、純粋で甘やかされて育たれたんだろうなきっと」
「なんと羨ましい話ですね、ここ天涯孤独の家族の温もりというものをあまり知らない女の子がいるというのに」
 私はとうっといいながら身を起こす。
「もう大丈夫なのか?」
「いえ、私はもう限界です。なので、少しある方に入れ替わっていただきます」
「限界なように見えないんだが、どちらかというとピンピンしているような」
 テイルは私を凝視する。
「私は演技するのは好きですし、うまい方だと思うのですよ。それに、もう、・・・・・・やだよ」
 私は涙と流し始める。もう、思い出したくない。体は、まだ悲鳴をあげている。辛い。
「・・・・・・・・・・・・お前、いま、何が見えているんだ」
 ボーッとしていたエルが口を開いた。
「いま、私の視界は真っ白ですよ。あなたがどんな顔をしているのか、テイルがどんな顔をしているのか、あなたがどんなものを召喚しているのかよくわかりません」
「召喚していることはわかるんだ。なーんだ、わかんないのならそのままぶっ殺そうと思ったのに。つまんないの」
 エルは失笑を浮かべる。
「つまらないのですか。はは、テイル、それではよろしくお願いしますよ」
「わかった」
 聴覚だけでテイルの反応を確認した私はそのまま地面に倒れ込んだ。