複雑・ファジー小説

Re: 非日常の日常 ( No.17 )
日時: 2016/02/02 22:39
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

「は?」
 エルさん、いや、エルさんを操っている誰かがポカンと口を開いて固まる。この固まるという行為はその人にとって癖みたいなものなのだろうか? だとしたらとてもやられやすい敵だな。この一瞬で普通に倒せる。まあでも驚いているのはたぶんエルさんも同じだと思うのだけど。
「姫さん、……アリスさんはなんか普通に生きてますよ。あれですよね、容姿はとてもきれいなのに中身が少し残念な人ですよねアリスさん」
 アリスとはさっき言ってた姫様の名前だ。本名はもうちょっと長いらしいけど忘れた。忘れたということにしといて。私は苦笑いをしながら話を続ける。
「アリスさんはあなたにやられて瀕死の状態にまでいったらしいですが、なんとか逃げ出したらしいですよ」
「!? そんなはずはない!」
 そこで敵の人は声を荒げた。
「そんなはずはない! 確かに! 確かに殺したはずだ! 斬って切って切って斬って焼いて凍らせて焼いて灰にしたはず!」
「はぁ」
 私はわざとらしくため息をついた。
「なんだ?」
 彼女の顔に少し血管が浮く。が、そんなこと気にせずに私は彼女を煽るようにムカつくようにするようににやにやと笑う。
「確認が甘い」
「どういうことだ」
「あの人はそれぐらいじゃあ死にませんよ。本当に殺したいのなら灰にした後に食べるとか自分の力にするとかしないと」
「は?」
「あの人は灰になっていたのですよね、灰、それはまだ肉体が完全には消えてない」
 そう、灰では完全には肉体が消えていないのだ。消えてない、DNAはまだ残ってる。まだ、回復できるのだ。それは、まだ、肉体の形成が可能。
「あの人すごいですよ。私が初めて見つけたとき石になってましたもん」
「まて」
 そこまで言って敵の人が私の言葉を停止させた。ので私は「なんです?」と聞くそして質問してきた。
「お前はその状態の姫を人間の姿に戻したというのか?」
「はい、そうです」
 あっけらかんと私は答える。当り前じゃないですか、と言う勢いで。
「そんなこと可能なのか?」
「可能ですよ。たとえそれが私が齢6歳ごろの事だろうがたぶん今だろうができましたよ」
「魔法少女の力がなくとも?」
「はい。というかぶっちゃけ私の場合“素のほうが強かったりします”からね」
「ん? それはどういうこどだ?」
 あ、やってしまった。いらないことを言ってしまった。話題をそらさなくては。と言っても話題なんてない。だから。
「んー。まあ、体質的な問題ですよ。あなたには関係ありません。それにザックリとした説明も終わりましたし、ぱっぱと私もやることをやりますか。よっと」
 私はあるところに向け、跳ねた。そして着地する。
「やっぱりそうでしたか。憑依魔法。悪魔が最も得意とする魔法ですねー」
「なっ!? なぜわかった!?」
 敵の人、悪魔はエルの体で驚く。ちなみに本体となる体は寝そべっているなんと無防備。
「あ゛っ」
 そこで自分の無防備さに気づいたらしい。急いで自分の体に戻ろうとする。
「遅いです。では、消え去ってください」
 私は空中から取り出した日本刀でその悪魔の体を斬った。さっき言った通り私の力は少し戻った。だからさっきまでだったら日本刀で敵の体を斬ってもほんの少しの肉体的ダメージにしからならかった。しかし今、今は違う。私に切られた悪魔の体は灰になって粉々になって消えてなくなってしまった。